真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「保安官エヴァンスの嘘〜DEAD OR LOVE〜①」 多分、親父が諸悪の元凶だと思う。

週刊少年サンデー連載中、栗山ミヅキ作品。

 

肩ひじ張らないバカバカしいマンガが好きである。これはまさにそんな作品。

 

西部を舞台にしたコメディー。モテたい一心で銃の腕を磨き凄腕ガンマンとなった保安官エルモアエヴァンスの苦悩を描く。

 

「モテたい」幼少時からモテるために銃の腕を磨き、西部一の凄腕保安官になったエルモアエヴァンス。だが未だに年齢=彼女いない歴。その事実をひた隠し、西部の荒くれ者達と渡り合い、日々カッコをつけるみたいなお話。

 

モテんがために自己を研鑽し高めた挙句、自己設定した理想像から遠ざかるもどかしさを楽しむギャグマンガである。

 

ここでの自己設定とは女にモテたい、イチャイチャしたいという軟派なものなのだが、そこに行く過程でエヴァンスはカッコいい男=凄腕ガンマンと言う答えを導き出し、それになるべくモテの師匠、親父の教えを実践しそれになるのだが上手くいかない。

 

エヴァンスは表面は凄くカッコいい。その言動、立ち振る舞い、行動は計算されたカッコつけであり自己プロデュースが半端ない。しかしそんな自分の作り上げた仮面が己を苦しめることとなる。要は裏の無いあざとい言動も周りが勝手に裏があると解釈してしまうのだ。下心丸出しの言動も勝手に裏読みされて違う解釈をされ、結果的に女性と近づけず、硬派なカッコいい保安官像が強化されていくという面白さ。しかもそんなカッコいい保安官像を壊したくないエヴァンスの心の葛藤が凄く面白い。

 

モテたいがために銃の腕を磨き研鑽する。基本自分を磨くという方向性は間違っていない。しかし、モテるために最も必要なのは己を高める事ではなく、恥をかいてでも、いかに自分の気持ちを相手に伝えると言うコミュニケーション能力と打たれ強いハートの強さであると思う。

 

エヴァンスはモテ要素は尋常じゃなくある。と言うか作中でも相当モテている。実際の所、モテの扉は目の前にあり後は開くだけの状態の所までは来ている。しかしエヴァンスにはその扉を開く術がない。他者を引き付ける術は身に着けたものの、他者の懐に入る術は学んでいないのだ。

 

元凶はだれか?親父である。

 

エヴァンスは将来モテるのために幼少時からモテる技術の習得に励むのだが、このモテる技術の師匠が親父が問題のような気がする。親父の格言を胸にエヴァンスは行動するのだが、前述したように肝心金目の所は伝授されていないのだ。故に苦悩する。それが楽しいのだが、本当にエヴァンスが尊敬するほど親父はモテたのか?そんな疑念を考えるのも面白い作品だ。因みに私は親父はモテなかった男だと思っている。

 

ブコメと言うのは匙加減が難しく、軽すぎても引き込まれず、やり過ぎると引くという難しいジャンルだと思うが絶妙なかじ取りで今の所物語は進行している。モテそうな男が持てないというありがちな設定を西部激にぶち込むセンスも素敵で凄く面白い。このテンションがどこまで続くは分からないが今かなり気に入ってる作品である。

 

 親父の教えに背き、自分の意志で行動し始めた時に物語は結幕を迎えるのではないだろうか?ある意味「父親殺し」と言う神話性の高い物語のような気がする…が、最終的に親父のような親父になっても遺伝子の継続的な話で面白い…って、下らない事を考えれる面白い作品である。

 

ぎゃふん!!!

 

 

「柳生連也斎 秘伝月影抄」(1956)雷蔵VS勝新。

当然白黒の84分。

 

原作は五味康祐の小説らしいが未読。だがどうやらかなり脚色されているらしい。

 

あらすじは、尾張藩の家老から推挙され、宮本武蔵(黒川弥太郎)は藩主徳川義直(三津田健)の前でその腕前を見せつけるものの、指南役の柳生兵庫之介(佐々木孝丸)の反対で士官の機会を失ってしまう。このことに憤慨したのが近習、鈴木綱四郎(勝新太郎)。名古屋を去る宮本武蔵に思いのたけを打ち明ける。これに感じた武蔵は綱四郎に不敗の剣理「見切りの秘太刀」を伝授し名古屋を去る。この一件から綱史郎は兵庫之介とその息子兵助(市川雷蔵)に激しい敵意を抱くようになる。…みたいなお話。

 

柳生VS宮本の代理戦争的なお話で最終的に雷蔵VS勝新みたいな流れ。

本作の主人公は市川雷蔵演じるところの柳生兵介(柳生厳包。のちの連也斎)なのだが完全にライバル役の勝進が喰っちゃってる。勝新演じる鈴木綱四郎は陰のある天才剣士で闇が深い。冒頭の宮本武蔵の仕官の件に始まり、片思いの女(この女は兵介に惚れている)に袖にされ、藩の剣術師範役も贔屓で兵介に持っていかれる。たまる憎悪、堕ちるダークサイド。最終的には切った張ったの果たし状で決戦になる…。そんな勝新なのだがこの頃はまだ太ってない。スリムでスマート。どことなく花形満を彷彿させる。ダークサイドに堕ちた花形満みたいなイメージ。因みに主人公も花形満的なイメージだったりする。ただ闇はない。

 

太陽と影。この対比が最後まで続く。雷蔵は曇りのない太陽。そこに淀みはない。勝新は闇。そこには不満が渦巻く。お互いに剣の腕は1流で藩主の近習を務める家柄。お互いエリート。なのにまるで違う道を行く。そこには剣の流派であったり恋愛関係のもつれだったりするのだが、光と闇が交錯している。結末の最終決戦も太陽と影が大きくかかわってくるので意識的な演出なのかも。

 

結論的にはあまり面白くない。多分、市川雷蔵主演でなかったら見なかっただろう。まあでもスリムかつスマートな勝新は堪能できたので良しとしよう。と言うような映画でした。

 

ぎゃふん。

 

 

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 尾張柳生3代目が主人公という事も見るきっかけだったのだが。

 

 

 

 

 

 

「ダンケルク」(2017)仕方がない事はある。けれどその選択は間違っている。

 戦争映画が好きだ。フィクションもノンフィクションも好きだ。しかし全てOKなわけでもない。のれない映画もある。ここら辺は感覚的な問題なので説明が難しい。最近で1番乗れなかったのは「フューリー」。これはハッキリ言って糞だ。汚い言葉で申し訳ないが個人的な正直な感想なので勘弁願いたい。しかし本作「ダンケルク」はのれた。と言うか相当のれたご機嫌な作品だった。

 

本作は第二次世界大戦西部戦線ダンケルクの戦いにおけるダイナモ作戦を題材にしている。ナチスドイツの電撃戦に包囲殲滅される寸前のフランス・イギリス連合軍はベルギー国境西、フランス最北端の港町ダンケルクに追いつめられていた。その数約40万。押し寄せるドイツ軍は約80万。もはやムリゲー状態の袋のネズミであった。ダンケルクから西の対岸に見えるドーバー。それを隔てるように横たわるドーバー海峡ダンケルクからドーバー、その距離は約90キロ。対岸には故国、背後には敵。イギリス・フランスの連合軍はフランスからイギリスへの撤退を決断、海上輸送での撤退作戦を実行する…。第二次世界大戦における最大規模の撤退戦の一幕を描く106分のお話。

 

陸海空の3つの視点で同じ事象をスクラッチしながら、撤退側の英国視点でのみ描かれた作品。基本物語はなく、ただ逃げるだけ。それだけである。

 

陸のパート、ダンケルクから逃げる歩兵のパートがメイン。これが主筋。冒頭から独軍に追い立てられる。撤退中に独軍から銃撃され、ただ一人ダンケルクのビーチにたどり着いた若い歩兵のお話。もはや雌雄は決し、とにかく命からがら故国英国に帰りたいという気持ちだけの若い歩兵。完全に狩られるもののパートで、迫りくる死への恐怖が半端ない。ガンダム風に言えば「プレッシャー!」と言うシャツが半端ない。とにかく逃げたい一心であの手この手で生き延びようとする。このパートの主人公とのシンクロ率が半端なく感情移入が一番しやすい。逃走して銃撃され、ビーチで爆撃され、船に乗っては撃沈され、正しいことを言って味方に銃を突き付けられと、とにかく忙しく、生きた心地がしない。

 

 海のパート、英国からフランスへ歩兵救出に向かう民間船団のパート。民間人の親父が息子とその友を従えて一路ダンケルクへ歩兵救出に行くお話。ジョンブル魂溢れる親父のお話で理想を具現化したような英国親父像で素直にカッコイイ。不覚にも素敵だと思ってしまった。

 

空のパート、英国からフランスへ向かう船団護衛の戦闘機スピットファイアのパート。撤退する船団の護衛に出撃するスピットファイアの小隊のお話。このパートの主人公はトム・ハディー扮するパイロット。軍人的にはどうかと思うが自己犠牲を具現化したような熱いキャラで「引かぬ、媚びぬ、顧みぬ!」的なツンデレじゃないサウザー的なキャラで良かった。

 

結論から言って相当面白かった。ただ逃げるというだけの話を淡々と、その時その時の事象を見せるだけなのだが迫りくる死と言うプレッシャーの積み重ねが最後解放されたカタルシスは何ともいない良い気分だった。

 

1番心を打ちぬいたのはタイトルにも書いた「仕方がが無い事はある。けどその選択は間違っている」と言う主人公のセリフ。これは物語終盤、窮地に陥った主人公が仲間の選択に対していった言葉なのだがこれって凄く芯を食っている。これってそのものずばり戦争に対する究極の回答のような気がするし、物事の真理のような気がする。

 

ただ一つ許せなかったのは陸パートにおける主人公と行動を共にしたギブソンの件だけは納得いかなかった。出てきたシーンからこいつが何者で最終的にそういうことになるんだろうなという事は分かっていたが、そのラストはいただけない。戦争における不条理を表現する恰好の人物なんだろうけどカエル野郎は報われてほしかった…。

 

 敗戦撤退体験型アトラクション的な映画だった。海パートと空パートが無かったら本当に追い立てられるだけの焦燥感と絶望感しかない…。それはそれで見てみたいが…。

 

ぎゃふん!

「聖者は夜やってくる」全4巻 懐かしさで手に取ったが…。

 凄く懐かしい…神崎正臣作品。最初に作者の作品を知ったのは「アシュギーネ」だったような気がする。MSX…。ある一定の年代の人間にとっては結構デカい存在で知られているような気がするパナソニックMSXのマスコットキャラクターの漫画で作者の存在を初めて知った。

 

作者の初期作品が結構好きで「万川集海」とか「ガンクライシス」とか読んでたような気がする。中でも今は無き少年キャプテンで連載されていた「KAZE」が凄く好きだった。で、それを読んだのが最後の記憶だったりする。キャプテンの廃刊とともに打ち切りになったのだが、風の便りで完結した旨を知った。残念ながらそれは読んでいない。その頃、この作者の作品は私の興味の対象ではなくなり全くアウトオブ眼中だったのだ.。しかし最近ノスタルジックな気分にもっていかれて作者の本を何でもいいから読みたくなり、本作に手を出してしまった…。

 

物語は悪霊物。オカルトホラー×アクションバイオレンス×エロ…あと中2病爆発みたいな感じの物語…。高校生の時に突如、悪霊に直接攻撃を与えるor与えられる能力に目覚めてしまった主人公、藺織零(イオリレイ)。その特異体質の代償として彼は家族や恋人の命を悪霊に奪われてしまう。その復讐として彼は悪霊退治する孤高の道を歩むことになる。しかし新人刑事である御子崎彩(ミコサキアヤ)との出会いによって凍てついた心に変化が見え始める…みたいなお話。

 

主人公はツンデレ。ヒロインは天然慈愛系。出てくる、むせ返るほどの中二病フレーズ&ネーミング。山田風太郎を始祖とする系譜の作品なのは間違いない。作風的に好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思う。個人的にはその手の作品を偏愛する性質の人間なので嫌いではないがちょっとくど過ぎる気もする。しかし、こんな感じだ。この作者のテイストはまさにこんな感じ。いい意味でも悪い意味でも芯がブレてないね。 面白いか面白くないかは別として凄く懐かしかった。個人的には作者の作風の懐かしさに大満足だったりする。歳かな。

 

全然関係ない話ですがこの作者、本業とは違う所でちょっと話題になってたんですな。今回ちょっとググって初めて知った。全く知らんかった…。どーでもいい話だが…。

 

ぎゃふん!

 

 

 

 ハードボイルド・ラブストーリーらしいです。なんじゃそりゃて感じですが、この作者の作品は私が読んだものは全てそれがデフォルトだったような気がする…。

 

 

 

「ワンダーウーマン」(2017)キャラの魅力は全開だった…。

主人公のワンダーウーマンガル・ガドットの魅力は言うまでもないがヒロインのクリス・パインの魅力も半端なかった。しかし、ガル・ガドット*1って名前は格好良くて凄く強そうだ。

 

物語は、主人公であるアマゾン族の王女ダイアナ(ガル・ガドット)が、彼女の住む女だらけの島に舞い込んでしまったヒロイン、スティーブ・トレバー(クリス・パイン)と出会い、第一次世界大戦の悲惨な惨状を知り、世界の危機を救うための戦いに挑むみたいな141分のお話である。

 

マーヴェルを向うに回してのDCエクステンデッド・ユニバースシリーズの4作目にあたるらしい本作。「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」「スーサイド・スクワット」に続く作品なのだそう。因みに前出の3作品の世間での評判はあまりよろしくない。暗い。陰鬱。ありきたりのストーリーと散々な評価が大勢を占める。中二病嗜好、悲劇主義のザック主導の企画なのでそれは仕方ないのではと思う。そしてそれをNOと言う人が多いのもわかる。が、個人的には嫌いになれない。と言うか好きなんだなザック・スナイダー路線。「300」「ウオッチメン」の感動が忘れられないのだ。あの感動を再び!と言うのが心の片隅に常にあって期待してしまうのだ。大抵は裏切られるのだが…ぎゃふん。そんな訳で前出の3作品も私も見ているのだが、世間でくそみそに言われる中「…あれ?これ結構おもしろいんじゃね?」と言うのが私のこのシリーズに関する総評だったりする。

 

結論から書くと本作もそこそこ面白かった。しかし個人的には前出の3作とそんなに変わらないくらいの評価だったりする。

 

序盤が辛い。よく言えば丹念に描いているのだが悪く言えば無駄なパート。ダイアナの幼少期から大人の女性までを描くシーンなのだがこれが辛い。特に「スパイダーマン」を見た後だったので凄く辛い。いる?そのパート。そこは端折ろうよ。序盤が一番この映画辛い。トレバーが出てくるまでは個人的には地獄のパートだった…。

 

中盤は凄く面白い。デ・カルチャー状態のダイアナとトレバーのやり取りや、島の外の世界でのダイアナのイノセントぶりはこの物語のハイライトかもしれない。戦場に入ってからの暴走、無双ぶりも面白く、彼女に率いられる愚連隊の面々の掛け合いも痛快だったりする。ここら辺は大満足。サイコーだった。

 

終盤がショボい。とにかくショボい。ここがクライマックスと言うのは寂しい感じ。最後はキン肉マンにおける悪魔将軍meetロビンマスクみたいなラスボスとラストマッスルバトルわけなんだがこれが個人的にいまいちな感じだった。中盤の盛り上がりを超えてこそのラストなんだが、どう贔屓目に見ても越えてないよね…。後、元々違和感があったのだが、ダイアナのアレス原理主義が痛い。話の通じない痛い感じが辛い。深くトレバーに同情する…。

 

全体的に見て序盤と終盤の失点を中盤で補っている感じの作品だった。個人的には序盤のダルさと終盤の沸点の高さがあれば言うことなしの作品になりえた惜しい作品だと思う。

 

主人公であるガル・ガドットの魅力が炸裂して言うのは当然として、クリス・パインの魅力が溢れているのが意外だった。トレバーは良いよ。野性味があって紳士で朴訥でスパイ。凄く良い。男から見てもかなりカッコいいキャラで立っていた。スタートレックの方ではあまり感じなかったけど本当にクリス・パインの魅力も全開だった。

 

 

 しかし最初に出会った男がトレバーだとすると、ダイアナの男に対するハードルはかなり上がるね…とか思っちゃうね。

 

 

 

 

*1:個人的に濁点が多い名称は強い感じがする。個人の勝手な感想です

「奈良美智 for better or worse」へ行ってきた。

実物を直に目にしてみたかったので行ってきた。

 

奈良美智と言えば目つきの悪い女の子の画で有名だ。

私が最初に意識したのは少年ナイフのCDアルバムのジャケットの画だった。

率直に良いなと思ったのを覚えている。

ポップでキュートで不穏。どことなくパンキッシュ。そんな印象だった。

今もそう感じる。

 

正直な所私には芸術が何たるかは分からない。

しかし感覚的に良いと思ったので実物が見て見たかった。

重要なのはそれ。フィーリングである。

 

そんなわけで豊田市美術館まで行ってきた。

私の住む所から車で高速を使い50分ほどの距離だ。

結構遠い。

初めて訪ねたのだが結構大きい立派な建物だった。

日曜日の午後4時ごろに訪ねたのだがかなり人が多い。

夏休みという事もあるのだが、かなり人気のようだった。

子供も多く賑わっている。

そんななか、1時間ほど展覧会を見てきた。

 

結論として見てきてよかった。

一見すると漫画チックで記号的な感じに捉えがちだが、実物を見ると細部の細かな淡い色使いやら書きこみに気づく。

細かい技術や技巧の結晶だった。

 

「神は、細部に宿る」と言う言葉があるが、なるほどと思わせる作品群だった。

 

難しい事を簡単に見せる、思わせるというのがプロの仕事だと個人的に思っている。

これは正しくそれだった。

 

実物は凄いよ。満足した。

 

 

 

思わずポスターを買ってしまったよ。

「スパイダーマン ホーム・カミング」(2017)ちょっぴりナードで相当ギークな能天気なスパイダーマンは魅力的だった。

スパイダーマンは好き。だが東映のヤツね。「チェンジ・レオパルドン!」のヤツ…。

 

六度目の映画化らしい。みんな大好きスパイダーマン

冒頭でも書いたが私も好き。スパイダーマン東映のヤツ。しかしよく考えると映画はライミ版の1しか見たことが無いのだ。2も3も、アメージング1も2も見たことが無い。嫌いではないが縁が無かったのだ。

 

ハッキリ言ってアメコミに疎い。キャラ自体は分かるが作品自体は詳しくない。私はのレベルはそんなもん。しかし興味はあるので見てきたのだがこれが面白かった。ライミ版も面白かったけど、あっちが陰とするならば、本作は陽。ポップでパンクな明るく楽しいスパイダーマンだった。因みに133分の作品。

 

マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)」と言うクロスオーバー作品としてリブートされた本作。俺祭りの社長とかも出てくる。マジンガーにグレンダイザーが出てくるような興奮感を味わうアベンジャ―ズ作品自体一作品も見ていない。残念!という事で本作品がMCU初体験となるわけだが、やはり気分は上がるね。スパイダーマンに社長(ロバート・ダウニー・Jr)が出てるだけでちょっと気分は上がる。良いね。物語はアベンジャ―ズ作品の時系列に組み込まれた形になっており、その中で、定番のスパイダーマンの物語が展開される。しかし結構話に改変が多いので新鮮な感じで楽しめた。因みにスパイダーマンになる件とかは端折られている。蜘蛛にかまれて特殊能力云々と言うのはもはやこの映画を見る者にとって常識という事なのだろうか。序盤の説明、紹介と言うのがほとんど端折られている。これが物語のテンポを速めてて展開が早い。凄く良い。

 

ナードでギークな主人が良い。基本イケてないけど明るい所が魅力的。しかしやたらと社長から認められたいらしい。確かに俺祭りなんかやるような人間に認められたら誇らしいかもしれない。私は嫌だが本作の主人公ピーター・パーカー(トム・ホランド)はとにかく社長に承認されたい欲求が強い。健気ななまでに社長に「俺はやれるっぜ」アッピールをする。しかしなかなか認めてもらえず頑張り過ぎてドジってしまうという超ベタ展開もツボを押さえている。高校生ヒーローの悩みや葛藤を上手い事バランスよく描いていると思った。青春物の側面が若干強いがそこらへんの好みで評価が変わるかもしれん。個人的には面白かったが。

 

ヴィランのヴァルチャーの造形も非常にカッコ良くて良かった。何よりもマイケル・キートンが良い。バットマンにしてバードマンにしてヴァルチャー。凄くゴロが良い。なんか配役に意図的なものを感じるが「食うために悪やってます」ていうのが良かった。大企業の圧力で仕事を無くして中小企業が悪の道に走る。ていう設定が結構リアルで芯を食っている。生活の為に悪に走るのと、夢や憧れの為に正義を目指す。悪と正義の対比が興味深い。きれいごとでは生きていけない現実と理想と夢無くして生きる意味のない現実のせめぎあい。なんか悪の方に絶対的シンパシーを感じてしまう。これは私が年を食ったという事なのだろうか、それとも元からろくでなしの甲斐性なしだからだろうか…。ぎゃふん。

 

しかし何より良かったのはラモーンズ!これに尽きる。久しぶりに聞いた。高校生ぐらいの時、ラモーンズしか聞いてない時期があったなぁ…。この映画自体、Blitzkrieg bopみたいなノリで凄く良かったのだがラモーンズは良い!良いよ!それをチョイスしたこの作品はそれだけで好いよ!とにかくラモーンズは良いぞ。

 

 

  

過去作のスパイダーマンに アヴェンジャーズ作品…見るか…。長い戦いになりそうだな…ぎゃふん!

 

 

ラモーンズの激情+8

ラモーンズの激情+8

 

 潔い良いまでの8ビート。全曲ほぼ2分弱の曲構成。ひつこいけどラモーンズは良いぞ!

 

 

「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」(2017)二兎追う者は一兎も得ず…。

アドベンチャー魂はどうした?…マジでどうした?

 

「ミイラ再生」(1932)のリブート作。同じリブート作に「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(1999)がある。個人的には「ハムナプトラ」の方が好み。「ロマンシングストーン」風のB級感が堪らない。後、冒険活劇に振り切ってる感が良い。凄く潔い。しかし本作は…。

 

ダーク・ユニバース。よく分からんがホラー版アベンジャーズをやりたいユニバーサルが仕掛ける作品群の第1作品目。古代エジプトで生きながらミイラにされ、遠く離れた中東の地で封印された、野心的な邪悪な王女アマネット(ソフィア・デプラ)。5000年後の現代、中東の戦闘地帯でニック・モートン(トムクル)らがそれを発見、封印を解いてしまう。「私の選びし者」と封印を解かれたアマネットから指名を受けたトムクル。逃げるトムクル。追うミイラ。それに秘密組織もかかわってきて…みたいな110分のお話。

 

エジプトモノが好きである。何となく好き。深い意味はないが好き。本作でフューチャーされるエジプトの神はセトなのだがアヌビスだったら最高だったのに。アヌビス最高。

そんなよく分からんモチベで見たのだが結構面白かった。ただ万人が面白がる映画かとと問われると微妙な感じ。何だか惜しい映画なのだ。「ザ・マミー」と言うタイトルの割にはホラー感が薄い。かといって冒険活劇に振り切っているかと言えばそうでもない。要は中途半端。ホラーかアドベンチャーかどっちかに振り切ればもっと面白かったのではないか。トムクルを主役に据えた時点で作品としての選択肢は冒険活劇一択だった気がするのだが…。ダークユニバースなる企画が足枷になってしまった感が強い。ホラーもののアベンジャーズを目指す割には第一作目からマミー滅しられちゃってるし…。なんか、もう、微妙。

 

呪われて瞳が四つになる所とか、ソフィア・デブラのミイラとか凄く素敵な感じなだけに惜しい。繰り返す。ソフィア・デブラのミイラは良い。素敵。

 

個人的にはソフィア・デプラが素敵すぎたため、ホラーに振り切った作品が見て見たかったのだが…。

 

二兎追う者は一兎も得ず。よく言ったもんである。

ぎゃふん。

 

 

 もっと振り切った、トムクルによるトムクルのためのトムクル冒険活劇にすればよかったのに…。

「ウォッチメン」(2008)誰がヒーローを裁くのか。

それが問題だ。

 

正直それ程アメコミが好きなわけでも詳しい訳でもない。が、この作品だけは別だ。アラン・ムーアの原作が凄く好きで唯一所有しているアメコミだったりする。ゆえに期待値が大きく今まで映画版は見ずに来たのだが、ついに誘惑に負けて見てしまった…。しかし予想に反してこれはいい!これはザック・スナイダーの最高傑作なのではないか。なんで今まで見なったんだ俺のバカ!

 

事の発端は1930年代。コスプレ犯罪者の出現によりコスプレ自警集団が出没し始めた。コスプレ自警集団は徒党を組み「ミニッツメン」を名乗り政治や歴史に深く介入していく。数十年後、第二世代のコスプレ自警集団が再び集結し「ウオッチメン」を結成する。彼らはアメリカ政府の尖兵として政治、戦争で暗躍する。これによりアメリカ政府は絶大な権力を世界に対して得ることとなるのだが、反面世界情勢は不穏な空気に包まれる事となった。また、アメリカ国内でのコスプレ自警団に対する反感が強くなり、キーン条例なる、コスプレ自警団禁止法が制定され、政府に認可された者以外のスーパーヒーロー活動が禁止されてしまう。1985年、米ソの冷戦の緊張が高まる中、スーパーヒーロー、コメディアンが殺される事件が発生する。非合法にヒーロー活動を行っていたロールシャッハは事の真相を突き止めようと捜査に乗り出すのだが…みたいな163分のお話。

 

スーパーヒーローが存在する世界の歴史変革物。と言っても真の意味での超人はDr.マンハッタンしかいない。この人物はまごう事無き超人で、その昔核実験に巻き込まれ全身を分解された後、自力で肉体を再構築して復活した強者である。…突っ込んではいけない。突っ込んだら負けだ…。全ての原子を操作でき、自分の過去・未来をも予知できる神に近い超人だが、その能力ゆえに人間性を喪失しつつある。全身が青いブルーマンで自分の事にしかあまり興味がない。フォーマルな場所では服を着るが、カジュアルな場所では全裸という完全なる確信犯。全裸の青い変態である。問題である。大問題である。しかし何よりも大大問題なのは彼がアメリカ人だという事だ。時は米ソ冷戦の真っ最中であり誰もが核戦争による世界の終末を予感し恐怖している。作中でも登場する世界終末時計などその恐怖の表れだ。と言うか、世界終末時計って今でもやってることを知った。トランプ就任時で終わりまであと2分だそう。…閑話休題。とにかく微妙なパワーバランスの天秤の上に成り立っていた世界に突如として現れた青い変態は世界に終わりをもたらすきっかけとなってしまっていた。予感される米ソの核戦争からの第3次世界大戦。それは世界レベルの危機の話。しかしそれ以外のヒーローの登場も世界にの均衡を崩す兆しになっていた。悪を裁くヒーローと言えば聞こえはいいが、結局の所自称ヒーローのコスプレ集団に過ぎず、悪との区別は自称の差に過ぎない。つまる所ヒーローが悪だった場合、それは誰が裁くのか?とタイトルにつながる問題なのだ。結果、キーン条例なる方が制定され政府公認のヒーロー以外のヒーロー活動は禁止される。現実世界の1980年代に本当にヒーローが存在したならば?と言うシュミレーション作品である本作。ヒーローがいることによる弊害を問題定義しつつ、正義とは悪とは…それぞれのヒーローが信念のもとに、平和を願い行動して行き着く先に何が待っているのかを描いている。原作を知っていても最後まで目が離せない。最終的な結果は果たして本当に平和と言えるのか?全くもって興味深い作品である。

 

ザック・スナイダー作品一連にあるダークで沈鬱なムードの中、物語は淡々と進行していく。これが原作の雰囲気にマッチして最高に素敵でご機嫌な感じなのだ。昨今の作品が暗すぎると批判されがちなザックさんだがこの作品に限って言えばモロハマりである。最高だ。

 

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 好きなヒーローは完全変態Dr.マンハッタン。素敵なのは曲がったことが大嫌いロールシャッハ。共感するのは流し流されナイトオウル2代目。そんな感じか。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

長い休み明けは…。

仕事に行きたくなくなる。

これに尽きる。

 

うーむ。困ったもんである。

休み前は、

「こんなに休みあっても、何するよ?」的な感じなのだが、

終わるころには「えっ!もう終わりなの…。何したよ俺…」的な感じに必ずなる。

 

時間の使い方がへったくそなのだな。これが。

ある程度の予定は立てて、それは大体消化したのだが貧乏性なのか、終わるころには後悔の念が強くなる。もっとやれたのでは…と。まあ、大抵は出来ない事なんだけどね。後から、あーすりゃ良かったってのは…。

 

しかし、しかしである。

ああ。仕事に行きたくない‼!

 

困ったもんである…。ぎゃふん!

 

 

 

2017年8月16日 休み最終日の憂鬱な夜にこれを記す…。

 

            f:id:G029:20170816232154p:plain

            行くまでが嫌なんですよ…。

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 1章」(2017)地雷臭が満ち満ちていたのだが…。

銀魂を劇場で見たのに何を恐れおののく必要があるのか?

ある訳がない。

いや、もうすでに箍は外れた。

恐れや恐怖などない。

毒喰らわば皿まで…。という事で見てきたけど結論から言うと…意外と面白かった。

 

改変はあるものの基本第四部をほぼ忠実に再現している。

キャラクターのコスプレ感は当初半端なかった。そして違和感も半端なかった。

スケール感とか身長とか体の厚みとか。

しかし、しかしである。途中から違和感が無くなった。

要は映画へ没入できるくらい引き込まれたのだ。

まず要因としてはロケーションの勝利。

この作品は全編スペインロケらしいのだがこれが大正解だった。

原作は日本設定でありながら日本ではありえない風景。

正解は地中海沿岸部のそれだったのだ。

まんまじゃん。凄い大正解。

この日本ではない異国の風景にコスプレが浮かず栄える。

凄い。凄い発想だ。

ここ最近は目を覆いたくなるような作品が多かった三池監督が、ここではいい仕事してる。グッジョブ!

 

配役でいえば虹村兄弟が良かったように思う。

虹村億泰は結構再現度高し。

千葉ジュニア中々良いね。

兄、形兆も良い。

が花京院ぽいような気がする。

スタンドもそこそこカッコよく頑張ってると思う。

 

ジョジョに思い負い入れがあるかないかと言えば、私の比重はどちらかと言えば後者に傾く。しかも正直第4部にそれ程思い入れはない。個人的には第1部が一番好きで、第3部で終わった感を強く持っている作品だからだ。しかし「何を書いてもジョジョになる」と言う名言をしれっと言っちゃう荒木飛呂彦さんのライフワークとしてのジョジョを否定する気は毛頭ない。と言うか何を書いてもジョジョになるって凄いなと、何の含みもなく感心する。そんな対してジョジョに思いいれの無い私だがこれは本当に意外と面白かった。うん。面白かった。

 

できれば続編も見たい…。

が、興行成績が芳しくないらしい。

続編自体危うい位らしい…。

続編見てみたい…。

危ういかもしれない…。

ぎゃふん!

 

これはこれでありなのではないか。そんな風に思う。しいて言うなら擬音が足りないように感じた。擬音こそジョジョであると個人的に思っている。

 

どっぎゃーん❕ハアハア的な。

 

 

 

我が相棒が死んだ。

人ではない。

我が相棒「iPod classic」が死んだ。

夏季休暇前日の2017年8月10日午後9時10分位にお亡くなりになった…。

最後に流れていた曲はルー・リードの「perfect day」…。

曲の終わりとともにHDが暴走そのまま音を出すこともなく逝ってしまわれた。

購入してから大体9年ぐらい経過していたので寿命と思われる。

が、結構悲しい。

思えば何処へ行くにも相棒は一緒だった。

日本国内は勿論の事、海外にも9年間で4回一緒に行った。

働き者の相棒だった。

値段分の働きは確実に果たしてくれた我が相棒…。

 

さらばだ!ぎゃふん‼!

 

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 もはや次、何を買うのが正解か分からんぐらい重宝してた…。ぐっすん。およよ…。

 

 

「銀魂」(2017)漫画原作の実写化の難しさを感じた作品だった。

原作も読み、アニメも見ていた。ゆえに実写も見ねばザビ状態だったので見てきたのだが…。

 

率直な感想を。今年観た映画の中でワーストに属する映画だった。まず最初に断っておくのだが、あくまで今年に入って、私が見た映画の中で、私の主観においてワーストに属する映画だったという事。

 

映画自体は、原作の紅桜編をほぼ忠実に再現していて、しっかりとした話になっていた。原作特有の下世話でお下劣なギャグや、パロディネタ、内輪の自虐ネタなどもあり、銀魂にちゃんとなっていた。

 

そう、忠実過ぎるほどに原作やアニメを意識した作りになっていた。しっかりしてる。

 

だがしかしである。

 

ならば実写じゃなくても良くね?…。とか思ってしまった。

 

身も蓋もない感想なのは書いてる私もわかる。野暮なことも分かるのだが、それが見終わった時の率直な感想だった。確かに実写映画の出演者ネタとかもあるのだが、基本は原作に忠実な作りになっていた。原作へのリスペクトも強く感じられる。しかし原作漫画ありの、TVアニメありの、アニメ映画ありの実質4回目なもんだからもう少し逸脱したはっちゃけた作品にしても良かったのではないか?個人的にはそう感じた。ぶっちゃけた話これを見るなら原作を読むかアニメ映画を見ればいいと思ってしまうぐらい忠実にやり過ぎてる。それでいいのかもしれないが、なんか物足りなく感じてしまった。それを言ったらおしまいなのは理解するのだが…率直にそう思ってしまったのだ。

 

後、漫画原作のキャラの髪型とか色とかってどうにかならないもんか。主人公の白髪はともかく、違和感が半端ない。あれが作品への没入を阻害すんだよなぁ。もっとそこらへんも改変して自然な感じに変更してくれた方が作品に入りやすいんと思うのだがどうだろう。それで怒る人もいるんだろうけど個人的には気にならんと言うか、自然じゃない髪型とか色の方が嫌なんだが。衣装のコスプレ感も半端ないしね…。

 

配役は意外とよかった。違和感はそんなにない。ただ台詞に違和感はある。と言うか頭の中に出来上がってしまった固定観念がそうさせる。アニメって怖い。基本やっていることは同じなだけにこれじゃない感が半端なかった。

 

アニメゆえ許されるノリを実写でやると結構痛くて寒い。銀魂と言う作品自体が土台実写に向いていないと感じた。個人的な感想だが。

 

型にはめすぎて暴走しきれなかった感じか。いや、面白い所もあるんだけどね。

 

 

 個人的にベストは佐藤二郎だった。全てを持ってく出色の出来だったように感じる。

 

 

 

「ポリスストーリー・香港国際警察」(1985)ストーリはともかくアクションは今見ても圧巻だった…。

ジャッキ―映画が何となく見たくなったので…。しかしよく死なずに生きてこれたなぁ…。凄いなジャッキー。

 

麻薬組織の摘発の為に香港警察は麻薬組織のボス、チュウ・タオ(チュウ・ヤン)に狙いを定め逮捕、司法の場で彼を裁くべく、彼の秘書であるサリナ(ブリジット・リン)に検察側の証人として司法取引し、司法の場で裁きを下そうとする。そんな彼女の出廷を妨害しようとする麻薬組織と彼女を警護する刑事チェン・カク―(ジャッキー・チェン)の攻防を描く103分のお話。

 

ある一定の年齢層の人間にとってジャッキー・チェンは避けては通れない道のような気がする。好き嫌いは別にして。多分に漏れず私もその層の人間なのだ。しかし小さい頃は好きだったなぁジャッキー。こう書くと語弊が生じるが今も好きは好きなのだ。しかし殆どジャッキー映画は見なくなった。正直ラッシュアワー以降のジャッキー映画を見ていない。ジャッキーの自伝は買って読むくらいには好きなんだが映画は見ない。で、冒頭にも書いたが何となく見たくなって、とりあえず過去に見たことがある本作を選択し見ることにした。ジャッキーも自信の主演映画の中のベストの1本に挙げてるし。

 

結論から書くと話の内容は正直今見るとキツイ。が、アクションは圧巻だった。と言うか過去の印象よりも今見た方が凄かった。と言うか凄まじい…。

 

話の内容は凡庸。これは否めない。あとコメディーパートがきつい。1985年仕様の笑いなので致し方がない。笑いも風化するし進化するから仕方がない。当時はそこそこ面白かった気がするが、当時は私もガキだったので何とも言えない。ただ今見るとキツイ。これは事実で間違いない…。

 

しかしアクションは圧巻に尽きる。当時見ても凄かったが今見ても凄かった。と言うか今ではできない。だって死ぬレベルだから。危ないしヤバいけど凄い。なんか頭悪い感じのボキャブラリーだが、やってるアクションも頭悪いレベルのヤバさだ。いや、褒め言葉だ。内容とかどーでもいいレベル。もうそれだけで満足できるレベル。

 

流石だぜジャッキー。

 

 

ポリス・ストーリー/香港国際警察 <完全日本語吹替版> [Blu-ray]

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 確かにもうこれは神話ですよ。死んで伝説になるより生きて神話になる方が良い。あと法も理性も吹っ飛ばすラストは個人的に痛快だと思いました。ぎゃふん!

 

うーん。他の作品も見直すor見てみよう…。

 

 

 

「レイヤー・ケーキ」(2004)甘く見えるけど甘くない。

マシュー・ヴォーン初監督作品。本当はガイ・リッチーが撮るはずだったらしいのだがなんかごたごたがあって降板したらしい。結果はそれで良かったんじゃないか。これはなかなか傑作だった。

 

 名もなき主人公の麻薬デューラーを007以前のダニエル・クレイグが演じる。表向きは不動産屋、しかし裏では麻薬を捌き金を稼いでいる麻薬デューラーxxxx(ダニエル・ブレイク)。彼は自らにルールを定めておりそれを実行することによって裏社会を上手い事生き抜いてきた。彼は裏社会に骨を埋めるつもりはなく、自らに課した最後のルール「好調なうちに引退」を実行すべく、裏社会から足を洗う事を考えていた。しかし世の中そんな思い通りにいくはずもなく、彼は組織のボスから裏社会の大物の娘の捜索とMDMAの取引と言う二つの仕事を依頼される。簡単に見えた仕事は一筋縄ではいかず娘の捜索は難航し、MDMAの取引のブツはオランダのマフィアからの盗品と判明する。しかもMDMAの奪還と、強奪の報復の命を受けたオランダマフィアの殺し屋に狙われる羽目になる。そんな中、彼は組織のボスの思惑を知ることとなり…みたいな105分のお話。

 

本作を見て思うのはイギリスにおける麻薬に関する緩さだ。麻薬絶対ダメの国の住人で、酒もたばこもさほど必要に感じない私のような人間からすると想像もつかない世界だ。イギリスの薬事情は日本のそれとは違う事を痛感させられる。法はあれど緩いというのが実態のようでこんな映画も作られるのだろう。ある話によると煙草よりも薬の方が安い場合があるっていうんだから想像を絶するね。英国系のアーティストの記事を読んでいても必ずと言っていいほど薬の話が出てくるし、実際に緩いんだろう。全然羨ましくないけど。

 

話は裏稼業、麻薬デューラーのお話で登場人物はほとんど裏稼業の人間達でろくでもない。しかしそんなろくでもない人間達も組織とか裏社会のしがらみでもがく様は一般社会のそれとほとんど変わらず滑稽だ。ハイリスク・ハイリターンで手にするものは違えども、結局、無法の中にも法があるというのは何とも皮肉でもある。主人公本人も、自らにルールを架しているが、どんなことにも明確なルール、理が必要という事を感じさせる。多分この世に完璧な無法はないんだろうな。

 

薬やらそれにまつわる人間の思惑がこんがらがった話なのだが、最終的には一つに収束して綺麗にまとまっている。悪いことをするとそれなりのツケを払わないといけないよと言うラストも個人的には非常にツボで切なくていい。

 

罪には罰を。因果は応報せねばなりますまい。

 

 

 クレイグと言えば武闘派ボンドなのだが、くたびれたおっさんも十分魅力的でイケる。