2016年公開、新開誠監督作品。
夏休みが空けた9月最初の週の月曜日、仕事があまりにも早く終わり映画でも見に行こうと思い立ち足を運んだ。実はリブート版のゴーストバスターズを見たかったのだが、その時間では吹き替えしかやっていなくて断念した。私は映画館では俳優さんの肉声まで楽しみたい派。最近は吹き替え版の方が放映回数多いんだと痛感しつつ別の映画を選択することにした。で、あとは何があるかなという事で選択したのが本作なのでした。
興味がまるでなかったわけではなかったが、積極的に見るつもりもまるでなく、何の気なしに見たのだが、結論から言いうと相当楽しめた。本当に面白かった。
これは私的にも意外であった。と言うのもこの作品、公開前に予告である程度の内容を知っていた。所謂人格入れ替わり(イケメンと美少女)もので青春恋愛もの…。切ないオブザ切ない。そんなんが売りの映画なんだろうなと予想できた。で、音楽がRADWIMPS。もう中2病全開の切ないオブザ切ない映画以外あり得ない…。で、見たらやっぱりそんな映画だった。
けれど、その切なさが意外にもぐっと来た。見てるこっちはおっさんだしそういったものが鬱陶しく感じるかなとも思ったのだが逆にその切ない感じが物語的に良い感じで、我ながら吃驚するのだが、そこにぐっと来た。色んなことに疲れているのかしら…私。
いや、そりゃぁ好きになっちゃうよね。入れ替わった相手があんなこ達なら。正直、自己投影して観るタイプの方にはきっつい話ではあるけれど(基本、人格入れ替わり云々はよそに置いといたとして、学生時代に美男美女で恋愛するなどと言うのは、無いとは言わないが一握りの選ばれた人種のみであろう…。)、客観的、俯瞰で見ると、物語としてはキュンキュン来る映画ですよね。お互いがだんだん相手に好感を好意を持っていく感じが、人格入れ替わりの装置をうまい事利用して分かりやすく描かれてて。ああ、俺、掌で完全に踊らされていると分かっていてもそれが気持ちよかった。正直そういった感情は枯れてるんだけど真剣にそこが良かった。ああキャッキャウフフしたい。
入れ替わりの際、それを分かりやすくするために胸を揉むシークエンスが挟まれてるのも感心した。時間の経過とともに、そのニュアンスが変わっていって、最終的に泣きながら胸を揉むというシーンに至っては、笑うどころか感動を不覚にも感じてしまった。きっと本来は笑いのシーンなんだろうけど、やけに共感してしまった。もう会えないはずの彼女に会えたら(入れ替われたら)、思春期ど真ん中なら確かに泣くよね。でも男の本能で揉むよね。うむ。正しいよ。
しかしこの映画、SF的だって言われてるけど、どっちかっていうとオカルト、もしくは伝奇物って言った方がよくね?そっちの方がしっくりくるし違和感ない感じなんですが。広域的に見れば確かにSFなんだけど、劇中のヒロインの友達が持ってる鞄の中にさりげなくムーとか入ってるし、意図的だと思うんですが。どーでもいいですか。
まあ、何だかんだで相当楽しめた。無論突っ込みどころも一杯あるのだけれど物語としてうまい事収束してたのであーだこーだと突っ込むのも野暮かなと思う。少なくとも、個人的には見てる間は映画の世界観に引き込まれていたので満足した。
正直な所その結末が若干モヤモヤする気持ちはあるのだけど、まあそれはそれでよいのかなと思う。作品は終わっても物語は続くというのは基本だよね。うん、好みだよ。
…しかしこの主人公は最後までぶれなかったね。結果的にではあるけど最後の最後まで年上の女性が好みなんだね。ほんとにどうでもいい話なんですが…。
ぎゃふん。