真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

ロン毛でアイパッチの男くさいヒロイックSF「エスケープ・フロム・LA」(1996)

好きな映画の話をしよう。控えめに言っても最高にご機嫌な映画。いやホントに。

 

 

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             「人間に戻れた」

 

何たるカッコよさ!スネークと言えばこの人。決してMGSのキャラではない。私の中ではカート・ラッセル=スネーク・プリスキンだ。そうゆう人、多いんじゃないのかい?

 

 

世の中はいい意味でも悪い意味でも変化するものである。けれどあえて変化しないものがあってもいい。むしろ変わって欲しくないものが世の中には結構ある。ジョン・カーペンターの作るBな感じの映画もそんなものの一つだ。この人の作る映画は粗削りでチープだ。決して変わらない。けれどそこが良い。キャリアや実績から言ったらもう少し予算のかかった洗練された大作映画を撮ってもよさそうなもんだが、この人、金を賭ければかけるだけその持ち味を失っていく印象が強い。少ない予算で暴走した方が持ち味の出る監督さんという素敵な方である。予算がかかる映画は大抵しくじるし間違える。予算の掛かった洗練された大作映画はサム・ライミとかピーター・ジャクソンとかにやらせておけばいいのだ。間違いないし問題ないし。

さてそんなカーペンターの絶妙にお金と話と面白さのバランスが取れた物語が「ニューヨーク1997」の続編にあたる「エスケープフロムLA」だ。私の中でのNo1カーペンター作品だったりする。

ニューヨーク1997」の続編と言っても完全な続編ではなくリメイク作品に近い。物語の内容は乱暴に言ってしまうとオカルトでSF。ドンパチ、潜入、波乗り、バスケ、ハングライダーにアメリカ魂。それらを一緒くたにした超ド級のB級エンタメ作品が本作である。何だか闇鍋の具みたいなごった煮なのだがこれがいい塩梅。絶妙なバランスで炸裂している。一歩間違えるとグダグダのカオス…そこを踏みとどまって奇跡のエンタメに仕上がっている。素晴らしい。チープで粗い感じもまたアクセントになっていていい。いやもうやられちゃいます、色んな意味で。やったぜ!カーペンター。いい仕事してる!

登場人物たちもスネークを筆頭に皆頭がおかしい。最高だ。あとはもうアメリカに対する皮肉とブラックユーモアの塊のような映画。単純にダークヒーローものとしても秀逸だと思う。突き抜けたバカバカしさというのは心地がいいねぇ。

しかし、映画の中で終身任期の大統領が大地震で崩壊した魔界都市LAに壁を作り、市民権をはく奪した犯罪者たちを流刑するくだりがあるのだが、現実世界でもメキシコ国境に壁作って不法移民者を締め出すって流れが妙にシンクロしてて興味深い。予言かよ。映画の中の時代設定も2014年だしね。3年先を行ってんのに1996年に作ったネタのような映画に近づいて行ってるこの現実。これって作った当時は、こんな未来になるなんてこれっぽちも思わないでギャグかネタ的な勢いで作ったと思うんだけど…。このままいくと行き着く先はMADMAXかって思う今日この頃…。…それはそれで面白そうだがそんな世界では生き抜けない。頭悪いし痛いですね。ぎゃふん。

 

 

エスケープ・フロム・L.A. [DVD]

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 BD化されていない…。なぜだ…。