真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「ばらかもん」①~⑭作ヨシノサツキ 簡素な感想。

 一年ほど前にアニメを見て興味を持った。いつか原作の方も読みたいと思ったのだが、その後テレビでやってたスピンオフ作品が全く違うテイストのもので、心に一ミリも引っかからず、原作に対する熱も冷めて放置していたのだが、もうすぐ新刊が出るそうで、その後どうなったのかの誘惑に耐えかねてついに読んでしまった。

 

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物語は社会不適合者のイケメン書道家の島流し物語。島での田舎生活や島民との交流を経て、書道家として、人として成長していく様を描く人間ドラマ。アニメがすこぶる面白く、その後の話を読みたかったが、その後のお話も期待に違わず面白かった。しまった。早く手を出せばよかった…。

 

タイトルの「ばらかもん」は五島列島の方言で「元気者」の意味らしい。作者の方が五島出身、在住の人でそういうタイトル内容の作品になったようだ。しかし、元気者って…。

 

1巻から6巻までがアニメ化された部分に当たるのだがちょっと感心した。本当に原作を忠実に再現してる。次回予告の前のおまけの部分まで原作を使ってたんだね。いやアニメスタッフは本当に良い仕事をしてる。グッジョブ。序盤、絵柄が安定してない原作よりもむしろアニメの方が完成度高いと個人的に思う。本当にグッジョブ。アニメ見たなら1巻から6巻までは読まなくてもいいと個人的に思う。

 

この作品の最大の魅力はやはり主人公、半田清こと半田清舟(筆号)の存在だと思う。いや、あざとい。あざといキャラだ。島民の子供に初見でジュノンボーイと呼ばれるほどのルックス。書道家としてそこそこの実績を持ち、親はその道の大家。超ハイスペックなキャラクターなのだが半面、一社会人としては超ポンコツと言うギャップがあざとい。精神年齢が幼くメンタルが凄まじく弱い。いや本当にあざといキャラだ。これは萌える。いかにも漫画チックでファンタジーのキャラ。現実には絶対存在しなさそうなキャラクターが、これまた素朴を強調した、ザ・村の子供or村民たちと言った、またまた田舎ファンタジーなキャラたちと織りなすふれあい日常ドラマが基本のお話になる。うん。完全に作者の掌で操られているちょろい読者だとは思うのだが仕方がない、認めよう。心地良い。ファンタジー×ファンタジーだと明後日の方向に話が飛んで行ってしまうんじゃないかと思うのだが、細かい所のディテールが結構しかりしてて、おとぎ話から現実ぽっい話に何とか引き戻している。村の情景や風習だったり、住んでる日本家屋の構造とか細かい小道具だったりが本当に現実的で昭和チック。主人公の家のガラス戸の鍵とか本当に細かくて正しい。あと黒電話とかね。私も長い事古い日本家屋の家に住んでいた人間なので、読んでてあるあるネタが多くて非常にノスタルジックな気持ちになった。

 

7巻以降の話もどれも面白く楽しめた。特に良かったのはきよバアの葬式の回。このエピソードは本当に良かった。身近な人間を亡くした人間の感情の起伏だとか突然フラッシュバックされる過去の思い出だとか、「ああ、確かにそー言う感じだった」と思わず呟いてしまうほどよくできてる。特に幼児の死者に対する恐怖というか悲しみってやつ、ホントに根源的な何かを感じ取って泣く様とかね、細かい描写なんだけど既視感が半端ない。

 

基本、1巻につき大きいエピソード一つ、その中に細かいエピソード1つ2つ挟んで、包括して大きいエピソードが完結するというかっちりしたスタイル。1巻づつで大きいエピソードが終わりそれが続いていくという形も心地良い。よく構成されている。分類すれば貴種流日譚の贖罪型に当てはまるのかな。分かっていてもベーシックな成長譚と言うのは面白い。主人公が着実に成長するさまも心地いい。杖を突いてるヨボヨボの老人をぶっ飛ばしてしまうようなヤバい若者が、島のガキンチョや大人に学び、よくぞそこまでまともになった様は結構感慨深い。習字の月謝で2万も毟ろうとする世間ズレさは相変わらずだが…。15巻も楽しみだ。

 

 

 いや。CDはいらんが…。