真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「エンド・オブ・キングダム」(2016)ジェラルド・バトラー無双再び。

ホワイトハウスと言う限定されたシチュエーションからもっと大きなフィールドへ。舞台を、もとい戦場をロンドンに替えた脳筋アクションの続編。今度も救いがたいほどあほな話。褒め言葉としては…それしか思い浮かばないな(笑)。

 

前作の完全なる続編。イギリス首相の急死を受けて先進国首脳が葬儀のためロンドンに集結する。その中にはアメリカ合衆国大統領とその警護官マイク・バニングジェラルド・バトラー)の姿もあった。しかしそれはアメリカに恨みを抱くテロ組織の巧妙に仕掛けられた罠であった。ロンドンに集結した各国首脳に迫る危機。その魔の手はアメリカ合衆国大統領にも向けられる。バニングはそれに立ち向かうが…みたいな99分のお話。

 

少年漫画の鉄則としてシリーズが進むにつれて敵も味方もその持っている能力がどんどんインフレする、と言うのがある。本作もまさにそんな感じ。規模、人、ドンパチ度が前作よりも確実にスケールアップしている。さらに言うならば主人公の戦闘能力、その周りのモブキャラ達のあほさ加減、設定のザルさもスケールアップしている。おいおい…。みたいな感じなのだ。もはや突っ込み所しかない内容で、正しい鑑賞法としては画面に延々と突っ込みを入れまくって楽しむというのが多々しい見方なのかもしれない。作品はシリアスタッチなのだが、その内容はもはやギャグ映画だ。もはや笑うしかない。前作でも感じたんですが車田正美イズム*1全開な作りになっている。時と状況と見ている人によっては最高に楽しい映画だろうし、最悪に最低な映画にもなりえる、人を選ぶ映画と思われる。因みに私は前者の方だったりする。

 

何ともストレートで1本道なお話で、最後まで想像通り物語は進行していく。まあこの映画にストーリー的な驚きは必要ないので問題はない。とにかくジェラルド・バトラーの無双っぷりに酔いしれるための映画と言える。が、あまりの無双っぷり、と言うかあまりのキリング・マシーンぶりに正直かなり引く所も多々ある。どっちが悪者と突っ込みたくなるような暴走ぶり。暴力を行使する人間および組織の正邪の判別とは非常に曖昧なものだと再認識させられる。

 

脳筋なアクションドンパチ映画なのだが、皮肉に満ちた映画だ。作中で復讐と言う物は執拗で絶対的な力を持つ、とテロ首謀者が語り、それに対してアメリカ合衆国大統領は、批判せず勇気をを与える。相手を想い、大切な人に心から尽くす。人にしてもらいたいと思う事を人にせよと息子に教えていると語る。その割には結局は復讐の倍返し…。映画の結末はさらに皮肉と矛盾を感じずにはいられない。作中でも語られていたが「最悪なのは何もしない事」なのだとこの映画は結論付け肯定している。手を汚さない傍観者には成功も失敗もなく、それについて語る資格はないと言いきるその姿勢は、いかにもアメリカ的な発想だなと感じた。まあある意味正論では有るのだが大抵最悪の方向に進んでるぜor倍返しな世界には平和は来ないよと、意図的にそういう風に感じさせるよう構成されてるのは感心した。脳筋アクションだけど。

 

 

 

 ジェラルドバトラーの無双ぶりに血肉湧き踊る作品であることは間違いない。

 

 

g029.hatenablog.com

 BDのパッケージの絵が全く同じっていうのは世間的にはOKなのか?ぎゃふん。

 

 

 

*1:真面目にやればやるほど笑える物語