真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「GIANT KILLING(45)」狂気の隣にあるものは…。

 45巻。しかしまだ1シーズンも終わっていないという事実…。

 

サッカー漫画に限らず、スポーツ漫画に必要な事はその競技に賭ける、競技者の狂気が描けているかという事だと思っている。

本物と言うのは少なからず狂ってる。そう思う。

 

本作ではシーズン2度目の東京ヴィクトリー戦終焉までを収録。ほぼ全篇、東京ヴィクトリーのエース持田の話なんですがこれが凄く良かったって話。

 

個人的に本作の主人公達海の後継者的ポジションのキャラが、椿と持田だと思っている。もしもの世界、怪我の無い未来を描いている椿と、怪我がありつつもその先を描く持田と言うのが達海には叶わなかったIFの世界を描いているんだと勝手に思っている。

 

持田は冒頭でも書いた狂気を体現するキャラで、完全なるフットボールホリック。まあヤバい奴です。しいて言うなら「F91」の鉄仮面さんの言う所の「エゴをさらに強化した者だ」みたいなキャラで相当魅力的で破壊的。そんな彼の狂気の隣にあるのは何かに焦点を当てたエピソードで相当良かったです。

まあ…そんなもんだよね。根源的な話として、何でフットボールやってるかっつたら。JOYですよ。楽しいからやってるに決まっている訳で。「俺がNO1」が口癖みたいなキャラの喜びとか楽しみとは何なのか、何に対して1番になりたいのか、何に対して負けたくないのかが明確に描かれていてスゲェ良かったです。

狂気の隣にあるのが普遍的な感情だったことにに少しホッとするような、残念のような、非常にアンビバレンツな気持ちなんですがとにかく凄く良かったです。

 

 長編漫画における強み。ここ数巻で構築してきた持田の物語がこの巻で炸裂する。個人的には花森の方が好き。