真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「スペル」(2009)小さな不親切が不幸を招く…。

時期を逸して観るのが延び延びになっていたのだが…控えめに言って最高な映画っだった。もっと早く見ればよかった。

 

サム・ライミと言えばホラーの人で死霊のはらわたの人でスパイダーマンの人である。個人的にはホラーってジャンルはあまり得意ではない。好きか嫌いかと聞かれれば、まあ好きなほうなのだが得意か苦手かと聞かれると苦手と即答できる。ビビりなので心臓に良くないのだホラーは…。突然来るデカい音とかマジで勘弁、心臓に悪い感じがする。それでも見るけど…。

 

物語は家を差し押さえられることに逆切れした婆さんが、差し押さえた会社ではなく担当した主人公である女性従業員に「恥をかかせやがった」と、その怒りをぶちまけた挙句、呪い殺そうとする、超逆切れ理不尽ホラーである。字面だけで見ると相当荒唐無稽な話だ。実際荒唐無稽な話なんだけど。ちなみに婆さんは2回もローンの支払いを延長しており、仕方なく主人公はそれを却下したかたち。しかも主人公は上司に相談したうえでの決断であったが、婆さんはこれに牙をむく。会社じゃなくて対応した従業員に!ここら辺の件は超理不尽でスゲェ怖い。理屈や論理を超えたプライドとかの怒りってたちが悪くていかんともしがたい…。そしてこえぇ。警備員に取り押され排除される婆さん。その場は収まるが帰宅のため駐車場で車に乗り込もうとする主人公をアンブッシュし強襲する婆さん。壮絶な格闘戦を主人公と演じる。これが怖くて可笑しい。恐怖と笑いは紙一重の所にあるのを実感する攻防。入れ歯の取れた口での噛みつき攻撃など想像を超えるアグレッシブな婆さんの攻撃を主人公は辛くも撃退するがコートのボタンをちぎり奪われ呪いをかけられてしまう。それから主人公は次々と怪異現象に襲われ、ある霊能者に頼るようになるのだがみたいな…99分のお話。

 

日常に潜む危険から否現実的な危機的状況に陥るという黄金パターンのホラー映画で、ビシっとはまった様式美溢れるホラー映画である。スパイダーマンの後にあえてこれを撮るサム・ライミの感性もシャレオツで痺れる。 ホラーでありながら可笑しさもあり最終的に後味が悪いという完璧な構成。目くるめくジェットコースターのような99分を堪能できる。

教訓としては小さな不親切が不幸を招き、余計なお世話が不幸を招くとい言った所か…。どっちにしても世の中は公平じゃないし不条理だよって感じのお話でした。ぎゃふん!

 

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 原点回帰的な作品で、こういうのはやっぱり得意なんだなサム・ライミ。しかしあの婆さんに毅然と対応した主人公には敬意を表する。だって見た目がもうヤバい。怖い。私ならあんな毅然とした対応は取れないだろうなぁ…。