確固たる己の意見を通すために必要な物とは何かと言われれば、周りの空気を読まないことであると私は考える。
周りの空気を読まないとはすなわち、人に流されず、ただ己が正しいと信じる正論をブチかますということに他ならないと私は思う。
己の意見を通すために必要な物はそれだけではないが、まずそれが肝要である。
と私は思った。
「言葉とは,これすなわち呪いなり!」
闇の中で私の叫び声とともに落雷が私の背後で鳴り響いた。
…特に深い意味はない。…医者はどこだ?
本作はお笑い芸人ハライチの岩井勇気氏の初エッセイ本である。
その大半は真っ当な正論であり筋が通っていると私は思った。
ただ正しい。それに尽きる。
氏は良く腐ってるとか捻くれてるとか揶揄されているが、ただただ正しい事を言っていると私は感じた。
お笑い芸人らしくわざと空回ししたような文章もあるが大半はウイットに富んだ文章で正論を語っている。
それが素敵に感じるかクドく感じるかは個人の資質によるだろう。
私は氏の文章や意見に魅力を感じた。
あらゆる事象に流されてきた私としては、ブレない姿勢の氏に好感と畏敬の念を感じた次第である。
「それに引きかえ私の面の皮は限りなく薄い…」私は一人呟いた。
個人的な本作のハイライトは、作中で氏の父親が使用していた「捨て!」というパワーワードであった。
「なんと素敵なお言葉か!」
私はその言葉に心奪われた。
その言葉を使った情景や気持ちも凄く共感できる。
何よりその言葉の強さ!そのパワーワードをどこかで私も使いたい!と言ういうか無理やりにでも使いたい!
「捨てー!」
何はともあれ、氏の次回作を今から期待している私がいる。
それで万事よいのではないか。合掌。