真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「プリースト」(2011)超絶に消化不良感が半端ない…

シチュエーションと雰囲気は好み。映像は結構豪華でお金かかってそう。物語は凡庸。映画としては…何とも言えない出来だった。色んなものが圧倒的に足りない。

 

粗筋は…

殆ど進撃の巨人だったりする。巨人を吸血鬼に替えただけ。

歴史改変の物語。吸血鬼が存在するIfの世界。太古の昔より続いた吸血鬼との戦争に「プリースト」と呼ばれる対吸血鬼用兵士の投入で人類は勝利した。が その力故に疎まれたプリースト達は解散させられ町の底辺で生きることとなる。平和を勝ち得た人類は高い防壁に囲われたシティと呼ばれる都市を建設し教会の統治の元、平和を謳歌していた。教会の司祭で伝説の戦士と名高いプリースト(ポール・ペタニー)は、ある日、ヒックス(キャム・ギガンデット)という青年から、兄一家が吸血鬼に襲われ、姪のルーシー(リリー・コリンズ)が連れ去られたことを知らされる。プリーストは再び人類に危機が迫っていることを協会に報告するが信じてもらえず、掟を破りヒックスとともにルーシー救出のための旅に出る。吸血鬼は絶滅したと主張する教会の妨害を受けながらも、プリーストは吸血鬼の巣窟へと向かうのだが…という87分のお話。

 

そんでもって感想…

まず初めに私はこの映画は嫌いじゃない。嫌いじゃないのだがこれじゃない。これじゃない感が凄く強い。何というか素材は良いのに味が残念みたいな感じの料理が出てきたときのような何とも言えぬ感情。この手のB級の匂いのする作品は好物なんですけどね。

 

監督はスコット・スチュワート。「レギオン」の監督で主演はポール・ベタニー。アイアンマンのスーツの声の人。「レギオン」と監督、主演とも一緒である。

 

g029.hatenablog.com

 

韓国の漫画が原作だそうなのだが私はよく知らない。ただその雰囲気は非常に好み。平野耕太の「ヘルシングイスカリオテ機関的な感じ。アンデルセンとか出てきそうな感じは凄まじく良い。

 

この映画、冒頭にも書いたが細かい所が結構しっかり作りこまれてる。

世界観も雰囲気も良い。背景のCGとかも良い。

吸血鬼も人外なクトゥルフチックorエイリアンチックで良い。ヌメヌメ感のある異形な化け物で従来の吸血鬼と全く違い良い。

テリーマンヨロシクチックに額に十字架マークがあるプリーストorプリーステスも出オチの感は否めないがそれもまた素敵。

ルーシー役のフィル・コリンズの娘リリー・コリンズもセクシーで可愛い。良い。

プリーストが銃器を使用してはいけないとか、妻帯してはいけないとか戒律的な縛りがあり、何らかの人体強化をされ超人的な戦闘能力を持っているという設定も良い。

 

そんな感じで結構心の琴線に触れる要素が満載にもかかわらず、見終わった後何とも言えない残念な気分になってしまう困った映画だ。原因としては、語りたい内容に対して決定的に時間が足りないところ。良く言えばスピーディという事なんだろうけど、早けりゃ何でもいいという分けでは無いという事をこの映画を見て痛感した。やっぱし話の強弱とか緩急は必要だよ。130キロ後半のストレートをストライクゾーンに投げ込み続けたら、いかに切れが良くても撃ち込まれますよ。ましてやそんな剛速球って作品ではないんだから。しかも時間の関係か山場のラスボスとの対決が…ショボすぎるー。うーん。完投能力がなかったんだなぁ。力尽きた感が半端ねぇっす。まるで既視感…この監督と主演の前作を思い起こさずにはいられなかった…何ともショボい。そんなこんなで最終的に前述のような気分になり半端ない消化不良感を見た後に感じました。

 

ただ一貫してるなーと感心させられたのが映画のテーマ。前作「レギオン」も信仰がテーマだったが今作も引き続きそれがテーマになっている。真の信仰心とは?本当に正しい行いとは何なのか?というものを問いかけるような内容になっている。「教会の教えが神の教え」と作中では洗脳するかのように唱えつづけるが、時にはそれを真っ向否定することも時には必要ですよと問いかける。手段を目的にするなという事か。体制が敵なのではなく、それを利用している何かが敵なのだ。パンクでロックンロールの魂が注入された作品と言える。内容は無いけどね。ぎゃふん。

 

 

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散々書きましたが本当に好みの作品ではある。いい感じなボンクラテイストで。あと少しズレていれば傑作になったかもしれない。惜しい。