真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「カラフル」(2010)悟るまでの「ぼく」がガキ過ぎて辛い…。

その昔TVで見た「河童のクゥと夏休み」が結構面白かったので見てみた。

あ、見たと言っても途中から、しかも最後のほうだけなんだけど。

  森絵都の原作小説は未読。原恵一作品は全く見たことが無い状態での視聴だったりする。

 

1度死んだ主人公である「ぼく」が「プラプラ」と名乗る関西弁を喋る怪しげな自称天使に「抽選に当たりました」と言われ、「小林真」なる自殺したばかりの中学生として生まれ変わり、もう一度人生をやり直すチャンスを与えられる。しかし「小林真」となった「ぼく」の生活には様々な問題があり…みたいな127分のお話。

 

死、自殺を題材にした重い話を、ファンタジーでまとめた寓話である。

人間1度は妄想する、人生をもう一度仕切り直したら的なお話を思春期における面倒くさい感情と日々の生活を織り交ぜて描いている。

 

結論から書くといまいちな映画であった。画とかは綺麗なんだけど、主人公である「ぼく」の行動や感情が、最後の最後まで何か個人的にしっくりこなかった。正直私は全く共感できなかった。何と言うか、青すぎる。

それと「ぼく」の正体が予想通り過ぎた…。安直すぎて意外性がまるで無い。

 

「ぼく」は生前に大きな罪を犯した魂で人生の再挑戦する機会を与えられた存在である。自殺を図って死んだばかりの「小林真」なる自殺した中学三年生の体に入りこんで、もう一度人生をやり直せる機会を与えてもらった。いわゆる試験期間でここでの行動が今後輪廻転生できるか無へと消滅するかの瀬戸際なのだが、この主人公である「ぼく」にはそういう危機感がまるで感じられない。その場その場の感情のみで行動している。そこに思考は感じられない。脊髄反射で行動している。

「ぼく」にとって小林真とは単なる宿木で、凄く他人なわけなのだが、やたらと小林真関連の事案で感情的になり過ぎる。「ぼく」は日々の生活の中で小林真が自殺した原因を察していくのだが、その中でも母親の不倫について特に怒る。まあ確かに気持ちのいい案件ではないが客観的に見れば借り物の体、小林真の案件であって究極的な話「ぼく」にとっては他人事であり、腹に据えかねる気持ちはあるがスルー出来ない案件ではないはず。しかし「ぼく」は流せず母親に対して激しい嫌悪感を表し行動で示す。無視だったりハンガーストライキだったりと試験期間と言うのに激しくこの事案に怒りを見せる。潔癖すぎる論理感なのか「小林真」を自殺に追いやった原因を作った者への怒りの感情なのか、凄まじい客観性の無さの行動。試験期間ですよ?って突っ込みを入れたくなるほど頑な。この時点で「ぼく」の正体が何となく察しられる…と言うか見る前から予想していた通りの感じなのだが安直過ぎやしないか。また、母の不倫には怒りを燃やすが思いを寄せる後輩の女の子の援助交際問題については何処までも目をつむり信じない構え。結局援交していることを知るのだが怒りではなく悲しみを覚える「ぼく」。それから自暴自棄の暴走…。ひと悶着あり同級生の早乙女なる本作の良心的な友を得て落ち着き「ぼく」は己の正体を悟り最後を迎える…。

 

思春期特有のめんどくさい感情やその境遇ゆえの視野の狭い世界観からの開放的な話なのだと思う。変わるきっかけは何処にでもあるけど死んだら終わりだよっていう話なのかな。手垢のついた陳腐な台詞ですが、喜びも悲しも生きていればこそで、死んだら終わり。死にたいという気持ちを持つのは当たり前だけど、それでも生きろ的な波動の作品でした。しかしこの作品、早乙女君がいなかったらどう収束させてんだろう?現実的には早乙女君いないパターンの方が多いような気がするわけで、そっちの方が見たかった…。

 

ぎゃふん。

 

 

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 なんか最近のアニメって背景とかやたら綺麗ですね。