真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

未知の不可抗力。/死に山:世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

未知の不可抗力。何それ怖い。なんたるパワーワード

 

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

 

 

 極地に挑む話が好きである。単純に興味がある。が、憧れは無い。興味=やりたい事ではない。私は生まれてこの方、雪山という所に言った事が無い。これからも行く予定は無い。スノボやスキーにも行った事が無いし行きたいとも思わない。何よりも私は寒いのが嫌いである。多分私は雪山というのを体感せず、経験せずに朽ち果てていくだろう。しかし別に後悔はないし未練もない。だが、不思議と興味はあるのだ。わざわざ過酷な状況に挑む人間に。

私は謎が好きである。古今東西を問わず、不思議な現象であったり事件などに興味がある。陰惨であればあるほど良い。趣味があまりよろしくないのは自覚しているが、空想が、妄想が捻るのである。不思議で不可思議なのが良い。妄想が広がる。で、行き当たるのがこの事件である。ディアトロフ峠事件。これは1959年に当時のソ連ウラル山脈北部で起こった遭難死亡事故である。その不思議で不可思議な惨状の詳細は各々調べて欲しい。捻るから。

本書は作者であるドニー・アイカーによるディアトロフ峠事件直前までのドキュメントである。過去パートと現代パートの2段構成になっており、一応作者の考える解決編もある。しかしこれは事件の真相の決定版ではない。あくまで作者が、集めた資料、関係者の証言、状況的推論から導きだした推察である。正直これが事件の真相であるとは断言できない。ただ事件直前までの情景が非常に想像しやすく、当時の若きトレッカー達の死に至るまでの道程を丹念に追っている。故に私の妄想を捻らせるのには十分な本であった。

 

だが、しかし。本書のこのタイトル。これが本書のしょっぱなにして最大の落ちとなっていることは間違いない。

ホラート・シャフイル。マシン語で死の山。…何たる出落ち。

 

雪山怖い。