横田順彌の作品は、遥か昔に何か読んだ気がするが全く憶えていない。それくらいの印象でしかなかったのだが、この作品の前作である「幻綺行 完全版」の装丁に目を奪われて衝動買いし、その面白さに完全にやられてしまった口である。で、本作も発売してすぐ購入し楽しみにして熟成さていたのだが、辛抱たまらん感じになり、遂に読んでしまったしだいである。しかし予想通りその期待に違わぬ面白さであった。
本作は実在の人物であるバンカラ快男児、中村春吉を主人公に明治を舞台にした冒険怪異譚である。登場人物は前作から引き続いており、継続して前作と同じ世界感が楽しめ、個人的に大満足であった。
実在の人物をベースにした、虚実入り混じった虚構というのが思いっきりツボなので、正直読み終わるのが辛いレベルの満足感であった。いい感じで出鱈目、もとい外連味あふれる感じがたまらん感じであった。
