真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

青春×自転車。「ヤング・ゼネレーション」(1979)

ピーター・イェーツ監督作品。

 

青春とは挫折と失敗の連続である。

それに劣等感をプラスしたら完璧と言える。…個人的な意見ですがね。

 

自転車に夢中でイタリアかぶれ。ちびと言われると切れるちび。過去の栄光を引きずった大学生コンプレックスのこじらせくん。何だかよくわからん馬鹿…。

 

本作の主人公たちも上手くいかない青春を過ごす側の人間だ。

イケてない、何か鬱屈したものや劣等感を持って生きている。ああ合掌…。

 

物語は石材所のある街を舞台にした青春ドラマ。

街には大学があり、学生たちは他所からやってきた裕福な家庭の人間が大半。

町の人間は、地場産業である石材所を基盤にした裕福ではない家庭が多い。

当然ぶつかる二つの文化。大学生と地元民との軋轢。

大学生達に「カッターズ」と揶揄され馬鹿にされる地元民。原住民と軽んじられている。

そんな舞台を背景に自転車狂でイタリアかぶれの主人公が、大学生に恋をして…と言った話。

 

まず最初に断っておく。私は青春映画と言う奴に弱い。

好きなんです。

惨めで恥ずかしくて頭が悪くて一途で無鉄砲で時に罪をもいとわないダメな感じ。

どうにもこそばゆいこの感じ。

嫌いじゃない。というかむしろ好き。

 

自分自身の青春を振り返ってみれば、漆黒と言って差支えない暗黒しか見えないのだが…。

ならば普通は、その手の青春映画など唾棄しつつ中指を突き立て、悪態の一つや二つ吐きそうなものなのかもしれないが、そんなことは全くない。

 

全然余裕で楽しめる。不思議なもんだね。

 

「グッド・ウィル・ハンティング」「遠い空の向こうに」「テレインスポティング」等好きな映画が多い。

 

良いね青春映画。憧憬しているのかもしれない。

 

本作も相当面白かった。というか面白すぎた。

アカデミー脚本賞受賞作なので当たり前か。

 

とにかく主人公が良い。自転車狂でイタリアかぶれのちょっと痛い子ぶりも良い。

憧れの自転車チームの現実を知り、打ちのめされる様も良い。

好きになった大学生の女の子に、イタリア人留学生と嘘ついて付き合った結果、最終的に嘘を自白して盛大にびんたされ、フラれる様も良い。

イタリアかぶれが理解できずにいたに親父に励まされて、自分の人生と向き合うさまも良い。

最終的にそんな鬱屈した気持ちを自転車レースにぶつけ炸裂するさまも最高だ。

そしてオチ。もう反則だ。

自転車狂の主人公ゆえにそのオチはある程度予測していたが、それでもニヤリとせざるおえない、洒落乙なラストまで本当に最高でした。

 

程度の差はあれ、世の中の大部分の人間は憧れられるような青春を送ってはいない。

どうにもうまくいかない、つまらない青春を送る人間がほとんどだ。

それでも何とか折り合いをつけて、生きていかなくてはならない。

現実を受け入れるなり、打破するなり何らかの方法で生きていかなくてはならないのだ。本作の主人公は最終的に挫折とか劣等感から解放される。まさしく原題であるBREAKING AWAY(離脱)したわけだ。いや、ホントよくできてる。傑作だ。

 

 

 因みに私はいまだに色んなものから離脱できていない…。泥の中である。

ぎゃふん。