2018年の映画。緊張感ある働くお仕事映画。
ワシントン・ポストの社史みたいな話。勝ち目のなし、終わりなしのベトナム戦争を面子の問題だけで米国が続けていると決定づける分析結果が記された最高機密文書のワシントン・ポスト紙掲載をめぐる関係者と米国政府の攻防の顛末をスピルバーグがスリリングに描く社会派ドラマ。
正直、期待せずに見たのだがこれは相当に面白かった。ある程度のモラルや社会正義はもちろんあるが、ゲームの勝ち負けを競うように最高機密文書の掲載を目指すワシントン・ポスト編集主幹ベン(トム・ハンクス)と夫に先立たれた名家出身のおばはんオーナー、キャサリン(メリル・ストリープ)を軸に小気味よくお話が展開していく。
ハイソではあるが普通のおばはんがだんだん覚悟を決めていく様が恐ろしくかっこ良ろしく、そんなおばはんを事態の進行と共に心の底から尊敬し、共闘していくベンことトム・ハンクスがこれまた非常にかっこよろしい。もはや2大俳優怪獣決戦の体なのだが、一番気分が上がるのは、記事の掲載にOKが出てからの輪転印刷機が回り始める所だったりする。金属活字をカチカチ揃えて、従業員たちが「やるぜ、やるぜ」と一斉に働きだす様は壮観で個人的にピークだった。
最後、報道が使えるべきは国民、という真っ当な最終判決からのウォータゲート事件の発端で映画が幕を下ろすのは皮肉が効いて良いなと思いました。
まあ美化されている場面はあるのだろうが良い働くお仕事映画だった。もとい、良い働く輪転印刷機映画だった。
鑑賞時間116分。