夜を乗り越える 又吉直樹著 感想
又吉直樹さんに非常に興味を持っていた。いや、過去形ではなく現在進行形だな。
興味を持っている、だ。
テレビ等の媒体で見かける際に、その独特なブラックユーモアだったり、陰のある自虐ネタや一発ギャグだったり、芸人なのにイマイチ弾け切れないような性格だったりが、意外と心の琴線と言うか、ツボだったりするので、非常に興味を持っている。
しかも本が好き。好きなジャンルは近代文学…。
うーん。興味深い。
僕も本は好きなのだが、近代文学、純文学と言うのは何となく敬遠しがちのジャンル。それが好きと言える人、しかも太宰治がフェイバリットと言えちゃうような芸人さんと言うのはホントに興味深い。いや、本当に。厭味ではなく純粋に。
なのでその著書を、どこかのタイミングで読んでみたいなとは思っていたのだが、そうこうしている内に「火花」で芥川賞作家になってしまわれた。このタイミングで買って読んだら完全にミーハーじゃないすっか、てな感じになり(…まあ、ミーハー気質ではあるんですが)さすがにちょい恥ずかしいんで文庫にらるくらいまで待ちの姿勢で行くかと思っていた所に、タイミング良いのか悪いのかは分からないんだけれども本書「夜を乗り越える」が出たので辛坊出来ず、猫まっしぐら(©カルカン)の猫の如く、思わず買ってしまった。
まず、何といってもタイトルが良いですよね。
「夜を乗り越える」
本当に良いタイトルですな。実際本の内容にちょっと係っているんだけど良いです。
多分、書いてる人が他の人でも買っちゃうくらいタイトル名が良い。
内容は、幼年期から現在に至るまでの人生と、それにまつわる本との出会い、本に対する思いが綴られているんですが、本に対する又吉さんの指向性や考え方が垣間見えて非常に面白く、興味深かった。しかし予想以上にひねた思考をしてますね又吉さん。いやいい意味で。面白いっす。
何と言うか、この手の話って、年を食ってくるとあまりしなくなるというか、基本頭が硬直してきて凝り固まった人が多くなるのでどこに地雷があるのか分からないのでできない、と言うか聞けない。
怖いよね。しかも話したら、賛同どころか否定やら上げ足の取り合いになる可能性非常に大で、やっぱし怖くて聞けないし話せないのだけれども、やっぱりこういう話は良いね。
人の好きな本を聞くと、読んで見たくなっちゃうし新たな世界が開けるかもしれない。少なくとも普段は読まないであろう本との出会いがあるし、それが面白かったりした日にゃ最高だもんね。
…うーん。近代文学。純文学。久しぶりに読んでみるかな。
…俺って良いお客さんだな、おい…。ぎゃふん。