真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」(2017)二兎追う者は一兎も得ず…。

アドベンチャー魂はどうした?…マジでどうした?

 

「ミイラ再生」(1932)のリブート作。同じリブート作に「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」(1999)がある。個人的には「ハムナプトラ」の方が好み。「ロマンシングストーン」風のB級感が堪らない。後、冒険活劇に振り切ってる感が良い。凄く潔い。しかし本作は…。

 

ダーク・ユニバース。よく分からんがホラー版アベンジャーズをやりたいユニバーサルが仕掛ける作品群の第1作品目。古代エジプトで生きながらミイラにされ、遠く離れた中東の地で封印された、野心的な邪悪な王女アマネット(ソフィア・デプラ)。5000年後の現代、中東の戦闘地帯でニック・モートン(トムクル)らがそれを発見、封印を解いてしまう。「私の選びし者」と封印を解かれたアマネットから指名を受けたトムクル。逃げるトムクル。追うミイラ。それに秘密組織もかかわってきて…みたいな110分のお話。

 

エジプトモノが好きである。何となく好き。深い意味はないが好き。本作でフューチャーされるエジプトの神はセトなのだがアヌビスだったら最高だったのに。アヌビス最高。

そんなよく分からんモチベで見たのだが結構面白かった。ただ万人が面白がる映画かとと問われると微妙な感じ。何だか惜しい映画なのだ。「ザ・マミー」と言うタイトルの割にはホラー感が薄い。かといって冒険活劇に振り切っているかと言えばそうでもない。要は中途半端。ホラーかアドベンチャーかどっちかに振り切ればもっと面白かったのではないか。トムクルを主役に据えた時点で作品としての選択肢は冒険活劇一択だった気がするのだが…。ダークユニバースなる企画が足枷になってしまった感が強い。ホラーもののアベンジャーズを目指す割には第一作目からマミー滅しられちゃってるし…。なんか、もう、微妙。

 

呪われて瞳が四つになる所とか、ソフィア・デブラのミイラとか凄く素敵な感じなだけに惜しい。繰り返す。ソフィア・デブラのミイラは良い。素敵。

 

個人的にはソフィア・デプラが素敵すぎたため、ホラーに振り切った作品が見て見たかったのだが…。

 

二兎追う者は一兎も得ず。よく言ったもんである。

ぎゃふん。

 

 

 もっと振り切った、トムクルによるトムクルのためのトムクル冒険活劇にすればよかったのに…。

「ウォッチメン」(2008)誰がヒーローを裁くのか。

それが問題だ。

 

正直それ程アメコミが好きなわけでも詳しい訳でもない。が、この作品だけは別だ。アラン・ムーアの原作が凄く好きで唯一所有しているアメコミだったりする。ゆえに期待値が大きく今まで映画版は見ずに来たのだが、ついに誘惑に負けて見てしまった…。しかし予想に反してこれはいい!これはザック・スナイダーの最高傑作なのではないか。なんで今まで見なったんだ俺のバカ!

 

事の発端は1930年代。コスプレ犯罪者の出現によりコスプレ自警集団が出没し始めた。コスプレ自警集団は徒党を組み「ミニッツメン」を名乗り政治や歴史に深く介入していく。数十年後、第二世代のコスプレ自警集団が再び集結し「ウオッチメン」を結成する。彼らはアメリカ政府の尖兵として政治、戦争で暗躍する。これによりアメリカ政府は絶大な権力を世界に対して得ることとなるのだが、反面世界情勢は不穏な空気に包まれる事となった。また、アメリカ国内でのコスプレ自警団に対する反感が強くなり、キーン条例なる、コスプレ自警団禁止法が制定され、政府に認可された者以外のスーパーヒーロー活動が禁止されてしまう。1985年、米ソの冷戦の緊張が高まる中、スーパーヒーロー、コメディアンが殺される事件が発生する。非合法にヒーロー活動を行っていたロールシャッハは事の真相を突き止めようと捜査に乗り出すのだが…みたいな163分のお話。

 

スーパーヒーローが存在する世界の歴史変革物。と言っても真の意味での超人はDr.マンハッタンしかいない。この人物はまごう事無き超人で、その昔核実験に巻き込まれ全身を分解された後、自力で肉体を再構築して復活した強者である。…突っ込んではいけない。突っ込んだら負けだ…。全ての原子を操作でき、自分の過去・未来をも予知できる神に近い超人だが、その能力ゆえに人間性を喪失しつつある。全身が青いブルーマンで自分の事にしかあまり興味がない。フォーマルな場所では服を着るが、カジュアルな場所では全裸という完全なる確信犯。全裸の青い変態である。問題である。大問題である。しかし何よりも大大問題なのは彼がアメリカ人だという事だ。時は米ソ冷戦の真っ最中であり誰もが核戦争による世界の終末を予感し恐怖している。作中でも登場する世界終末時計などその恐怖の表れだ。と言うか、世界終末時計って今でもやってることを知った。トランプ就任時で終わりまであと2分だそう。…閑話休題。とにかく微妙なパワーバランスの天秤の上に成り立っていた世界に突如として現れた青い変態は世界に終わりをもたらすきっかけとなってしまっていた。予感される米ソの核戦争からの第3次世界大戦。それは世界レベルの危機の話。しかしそれ以外のヒーローの登場も世界にの均衡を崩す兆しになっていた。悪を裁くヒーローと言えば聞こえはいいが、結局の所自称ヒーローのコスプレ集団に過ぎず、悪との区別は自称の差に過ぎない。つまる所ヒーローが悪だった場合、それは誰が裁くのか?とタイトルにつながる問題なのだ。結果、キーン条例なる方が制定され政府公認のヒーロー以外のヒーロー活動は禁止される。現実世界の1980年代に本当にヒーローが存在したならば?と言うシュミレーション作品である本作。ヒーローがいることによる弊害を問題定義しつつ、正義とは悪とは…それぞれのヒーローが信念のもとに、平和を願い行動して行き着く先に何が待っているのかを描いている。原作を知っていても最後まで目が離せない。最終的な結果は果たして本当に平和と言えるのか?全くもって興味深い作品である。

 

ザック・スナイダー作品一連にあるダークで沈鬱なムードの中、物語は淡々と進行していく。これが原作の雰囲気にマッチして最高に素敵でご機嫌な感じなのだ。昨今の作品が暗すぎると批判されがちなザックさんだがこの作品に限って言えばモロハマりである。最高だ。

 

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 好きなヒーローは完全変態Dr.マンハッタン。素敵なのは曲がったことが大嫌いロールシャッハ。共感するのは流し流されナイトオウル2代目。そんな感じか。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

長い休み明けは…。

仕事に行きたくなくなる。

これに尽きる。

 

うーむ。困ったもんである。

休み前は、

「こんなに休みあっても、何するよ?」的な感じなのだが、

終わるころには「えっ!もう終わりなの…。何したよ俺…」的な感じに必ずなる。

 

時間の使い方がへったくそなのだな。これが。

ある程度の予定は立てて、それは大体消化したのだが貧乏性なのか、終わるころには後悔の念が強くなる。もっとやれたのでは…と。まあ、大抵は出来ない事なんだけどね。後から、あーすりゃ良かったってのは…。

 

しかし、しかしである。

ああ。仕事に行きたくない‼!

 

困ったもんである…。ぎゃふん!

 

 

 

2017年8月16日 休み最終日の憂鬱な夜にこれを記す…。

 

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            行くまでが嫌なんですよ…。

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 1章」(2017)地雷臭が満ち満ちていたのだが…。

銀魂を劇場で見たのに何を恐れおののく必要があるのか?

ある訳がない。

いや、もうすでに箍は外れた。

恐れや恐怖などない。

毒喰らわば皿まで…。という事で見てきたけど結論から言うと…意外と面白かった。

 

改変はあるものの基本第四部をほぼ忠実に再現している。

キャラクターのコスプレ感は当初半端なかった。そして違和感も半端なかった。

スケール感とか身長とか体の厚みとか。

しかし、しかしである。途中から違和感が無くなった。

要は映画へ没入できるくらい引き込まれたのだ。

まず要因としてはロケーションの勝利。

この作品は全編スペインロケらしいのだがこれが大正解だった。

原作は日本設定でありながら日本ではありえない風景。

正解は地中海沿岸部のそれだったのだ。

まんまじゃん。凄い大正解。

この日本ではない異国の風景にコスプレが浮かず栄える。

凄い。凄い発想だ。

ここ最近は目を覆いたくなるような作品が多かった三池監督が、ここではいい仕事してる。グッジョブ!

 

配役でいえば虹村兄弟が良かったように思う。

虹村億泰は結構再現度高し。

千葉ジュニア中々良いね。

兄、形兆も良い。

が花京院ぽいような気がする。

スタンドもそこそこカッコよく頑張ってると思う。

 

ジョジョに思い負い入れがあるかないかと言えば、私の比重はどちらかと言えば後者に傾く。しかも正直第4部にそれ程思い入れはない。個人的には第1部が一番好きで、第3部で終わった感を強く持っている作品だからだ。しかし「何を書いてもジョジョになる」と言う名言をしれっと言っちゃう荒木飛呂彦さんのライフワークとしてのジョジョを否定する気は毛頭ない。と言うか何を書いてもジョジョになるって凄いなと、何の含みもなく感心する。そんな対してジョジョに思いいれの無い私だがこれは本当に意外と面白かった。うん。面白かった。

 

できれば続編も見たい…。

が、興行成績が芳しくないらしい。

続編自体危うい位らしい…。

続編見てみたい…。

危ういかもしれない…。

ぎゃふん!

 

これはこれでありなのではないか。そんな風に思う。しいて言うなら擬音が足りないように感じた。擬音こそジョジョであると個人的に思っている。

 

どっぎゃーん❕ハアハア的な。

 

 

 

我が相棒が死んだ。

人ではない。

我が相棒「iPod classic」が死んだ。

夏季休暇前日の2017年8月10日午後9時10分位にお亡くなりになった…。

最後に流れていた曲はルー・リードの「perfect day」…。

曲の終わりとともにHDが暴走そのまま音を出すこともなく逝ってしまわれた。

購入してから大体9年ぐらい経過していたので寿命と思われる。

が、結構悲しい。

思えば何処へ行くにも相棒は一緒だった。

日本国内は勿論の事、海外にも9年間で4回一緒に行った。

働き者の相棒だった。

値段分の働きは確実に果たしてくれた我が相棒…。

 

さらばだ!ぎゃふん‼!

 

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 もはや次、何を買うのが正解か分からんぐらい重宝してた…。ぐっすん。およよ…。

 

 

「銀魂」(2017)漫画原作の実写化の難しさを感じた作品だった。

原作も読み、アニメも見ていた。ゆえに実写も見ねばザビ状態だったので見てきたのだが…。

 

率直な感想を。今年観た映画の中でワーストに属する映画だった。まず最初に断っておくのだが、あくまで今年に入って、私が見た映画の中で、私の主観においてワーストに属する映画だったという事。

 

映画自体は、原作の紅桜編をほぼ忠実に再現していて、しっかりとした話になっていた。原作特有の下世話でお下劣なギャグや、パロディネタ、内輪の自虐ネタなどもあり、銀魂にちゃんとなっていた。

 

そう、忠実過ぎるほどに原作やアニメを意識した作りになっていた。しっかりしてる。

 

だがしかしである。

 

ならば実写じゃなくても良くね?…。とか思ってしまった。

 

身も蓋もない感想なのは書いてる私もわかる。野暮なことも分かるのだが、それが見終わった時の率直な感想だった。確かに実写映画の出演者ネタとかもあるのだが、基本は原作に忠実な作りになっていた。原作へのリスペクトも強く感じられる。しかし原作漫画ありの、TVアニメありの、アニメ映画ありの実質4回目なもんだからもう少し逸脱したはっちゃけた作品にしても良かったのではないか?個人的にはそう感じた。ぶっちゃけた話これを見るなら原作を読むかアニメ映画を見ればいいと思ってしまうぐらい忠実にやり過ぎてる。それでいいのかもしれないが、なんか物足りなく感じてしまった。それを言ったらおしまいなのは理解するのだが…率直にそう思ってしまったのだ。

 

後、漫画原作のキャラの髪型とか色とかってどうにかならないもんか。主人公の白髪はともかく、違和感が半端ない。あれが作品への没入を阻害すんだよなぁ。もっとそこらへんも改変して自然な感じに変更してくれた方が作品に入りやすいんと思うのだがどうだろう。それで怒る人もいるんだろうけど個人的には気にならんと言うか、自然じゃない髪型とか色の方が嫌なんだが。衣装のコスプレ感も半端ないしね…。

 

配役は意外とよかった。違和感はそんなにない。ただ台詞に違和感はある。と言うか頭の中に出来上がってしまった固定観念がそうさせる。アニメって怖い。基本やっていることは同じなだけにこれじゃない感が半端なかった。

 

アニメゆえ許されるノリを実写でやると結構痛くて寒い。銀魂と言う作品自体が土台実写に向いていないと感じた。個人的な感想だが。

 

型にはめすぎて暴走しきれなかった感じか。いや、面白い所もあるんだけどね。

 

 

 個人的にベストは佐藤二郎だった。全てを持ってく出色の出来だったように感じる。

 

 

 

「ポリスストーリー・香港国際警察」(1985)ストーリはともかくアクションは今見ても圧巻だった…。

ジャッキ―映画が何となく見たくなったので…。しかしよく死なずに生きてこれたなぁ…。凄いなジャッキー。

 

麻薬組織の摘発の為に香港警察は麻薬組織のボス、チュウ・タオ(チュウ・ヤン)に狙いを定め逮捕、司法の場で彼を裁くべく、彼の秘書であるサリナ(ブリジット・リン)に検察側の証人として司法取引し、司法の場で裁きを下そうとする。そんな彼女の出廷を妨害しようとする麻薬組織と彼女を警護する刑事チェン・カク―(ジャッキー・チェン)の攻防を描く103分のお話。

 

ある一定の年齢層の人間にとってジャッキー・チェンは避けては通れない道のような気がする。好き嫌いは別にして。多分に漏れず私もその層の人間なのだ。しかし小さい頃は好きだったなぁジャッキー。こう書くと語弊が生じるが今も好きは好きなのだ。しかし殆どジャッキー映画は見なくなった。正直ラッシュアワー以降のジャッキー映画を見ていない。ジャッキーの自伝は買って読むくらいには好きなんだが映画は見ない。で、冒頭にも書いたが何となく見たくなって、とりあえず過去に見たことがある本作を選択し見ることにした。ジャッキーも自信の主演映画の中のベストの1本に挙げてるし。

 

結論から書くと話の内容は正直今見るとキツイ。が、アクションは圧巻だった。と言うか過去の印象よりも今見た方が凄かった。と言うか凄まじい…。

 

話の内容は凡庸。これは否めない。あとコメディーパートがきつい。1985年仕様の笑いなので致し方がない。笑いも風化するし進化するから仕方がない。当時はそこそこ面白かった気がするが、当時は私もガキだったので何とも言えない。ただ今見るとキツイ。これは事実で間違いない…。

 

しかしアクションは圧巻に尽きる。当時見ても凄かったが今見ても凄かった。と言うか今ではできない。だって死ぬレベルだから。危ないしヤバいけど凄い。なんか頭悪い感じのボキャブラリーだが、やってるアクションも頭悪いレベルのヤバさだ。いや、褒め言葉だ。内容とかどーでもいいレベル。もうそれだけで満足できるレベル。

 

流石だぜジャッキー。

 

 

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 確かにもうこれは神話ですよ。死んで伝説になるより生きて神話になる方が良い。あと法も理性も吹っ飛ばすラストは個人的に痛快だと思いました。ぎゃふん!

 

うーん。他の作品も見直すor見てみよう…。

 

 

 

「レイヤー・ケーキ」(2004)甘く見えるけど甘くない。

マシュー・ヴォーン初監督作品。本当はガイ・リッチーが撮るはずだったらしいのだがなんかごたごたがあって降板したらしい。結果はそれで良かったんじゃないか。これはなかなか傑作だった。

 

 名もなき主人公の麻薬デューラーを007以前のダニエル・クレイグが演じる。表向きは不動産屋、しかし裏では麻薬を捌き金を稼いでいる麻薬デューラーxxxx(ダニエル・ブレイク)。彼は自らにルールを定めておりそれを実行することによって裏社会を上手い事生き抜いてきた。彼は裏社会に骨を埋めるつもりはなく、自らに課した最後のルール「好調なうちに引退」を実行すべく、裏社会から足を洗う事を考えていた。しかし世の中そんな思い通りにいくはずもなく、彼は組織のボスから裏社会の大物の娘の捜索とMDMAの取引と言う二つの仕事を依頼される。簡単に見えた仕事は一筋縄ではいかず娘の捜索は難航し、MDMAの取引のブツはオランダのマフィアからの盗品と判明する。しかもMDMAの奪還と、強奪の報復の命を受けたオランダマフィアの殺し屋に狙われる羽目になる。そんな中、彼は組織のボスの思惑を知ることとなり…みたいな105分のお話。

 

本作を見て思うのはイギリスにおける麻薬に関する緩さだ。麻薬絶対ダメの国の住人で、酒もたばこもさほど必要に感じない私のような人間からすると想像もつかない世界だ。イギリスの薬事情は日本のそれとは違う事を痛感させられる。法はあれど緩いというのが実態のようでこんな映画も作られるのだろう。ある話によると煙草よりも薬の方が安い場合があるっていうんだから想像を絶するね。英国系のアーティストの記事を読んでいても必ずと言っていいほど薬の話が出てくるし、実際に緩いんだろう。全然羨ましくないけど。

 

話は裏稼業、麻薬デューラーのお話で登場人物はほとんど裏稼業の人間達でろくでもない。しかしそんなろくでもない人間達も組織とか裏社会のしがらみでもがく様は一般社会のそれとほとんど変わらず滑稽だ。ハイリスク・ハイリターンで手にするものは違えども、結局、無法の中にも法があるというのは何とも皮肉でもある。主人公本人も、自らにルールを架しているが、どんなことにも明確なルール、理が必要という事を感じさせる。多分この世に完璧な無法はないんだろうな。

 

薬やらそれにまつわる人間の思惑がこんがらがった話なのだが、最終的には一つに収束して綺麗にまとまっている。悪いことをするとそれなりのツケを払わないといけないよと言うラストも個人的には非常にツボで切なくていい。

 

罪には罰を。因果は応報せねばなりますまい。

 

 

 クレイグと言えば武闘派ボンドなのだが、くたびれたおっさんも十分魅力的でイケる。

「ゴーストバスターズ」(2016)「ポテチは止まらない」そのセリフだけは胸に刻んだ…。

旧作は33年前か…。うーん月日の経つのは早い。

 

メンバーを女性に入れ替えてのリブート作。本来は旧作の続編の流れで制作したかったらしいのだがオリジナルの脚本家ハロルド・ライミスが亡くなったことによって完全リブートになったとか。それに伴って旧作の監督アイヴァン・ライトマンが降板しポール・フェイグにお鉢が回ってきたらしい。ポール・フェイグは「SPY/スパイ」が面白かったので期待していたのだが…。

 

コロンビア大学で教鞭をとるエリン・ギルバート(クリスティン・ウェグ)は終身雇用の審査を待つ身であるが、人には語りたくない過去を持つ。悪友であるアビー・イェーツ(メリッサ・マッカーシー)と共著で「過去からの幽霊」なるオカルト本を執筆した事があるのだ。その本がもとで幽霊退治の依頼が来てしまい、アビーとその連れジリアン・ホルツマン(ケイト・マッキノン)で幽霊屋敷に出かけることとなる…みたいな116分のお話。

 

率直な話、あまり面白くなかった。リブート作と言うのはどうしたって旧作との比較は避けられないと思うのだが、明らかに過去作の方が面白いように感じる。やってることは同じなんだけれど旧作のノリの方が上のように感じる。個人的な感覚ですが。一番個人的にダメだったのがジリアン・ホルツマン。そのノリが余計に邪魔に感じた。特攻野郎Aチームマードック的なイカれた役回りなんだろうけどなんか邪魔。2丁拳銃風のゴーストバスターガンで立ち回るところはカッコ良くて良く、冒頭にも書いたが、幽霊を前にして呟き行動した「ポテチは止まらない」と言う所だけは凄くイカスと思った。しかし全体的に見て何だか邪魔で、何と言うか、光るところは時折あるのに凄く残念なキャラだった。

 

この作品単品だけを見ればそんなにダメな映画ではないとは思う。局地的には面白かったりもするのだが、全体通して見ると面白いとも言い難く、個人的な感覚では視覚効果だけが進化したグレードダウンしたリブート作なのではないかと思った。一番個人的に上がったのが旧作のメンバーが出てきたときって…。

 

なんかノリが違うんだよなぁ。ぎゃふん!

 

 MADMAXがああだっただけに期待値が高すぎたか…。

「レヴェナント蘇えりし者」(2016)生きるという事…。

デカプリ悲願のオスカー獲得作。話は凡庸だけど画力が凄い。自然が凄い。しかしそんな事は関係なく復讐譚というのはどんなものであれ私の心の琴線に触れる。

 

ディカプリオ(面倒なのでデカプリと以後略す)と言うと結構な人気俳優で主演作も多い。しかし私はあまり見ていない。主演作に限ればただの一つも最初から最後まで見たことが無い。自分でも意外だったのだが、よくよく考えても見ていない。TVでやってるのを途中までとか途中からとかはあるものの何一つ通して見たことが無い。けれど嫌いなわけでもなく助演作に限って言えば「ギルバート・グレイブ」とか「クイック&デッド」とかは見ているし、その中でのデカプリには好印象を持っている。と言うわけで、主演デカプリ作品を初めて観きったった。

 

お話は復讐譚で実話を元にしたお話である。舞台は1820年代のアメリカ。毛皮の狩猟を生業とする商隊がネイティブ・アメリカンの襲撃を受け山に逃げ込むはめになるところから始まる。襲撃を逃れた一団は基地への帰投を図り、水路陸路のコース選択ででもめるものの陸路の山岳を抜けるコースを選択する。隊のガイドを務めるヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はその際、偶然クマと遭遇、襲われて瀕死の重傷を負てしまう。負傷したグラスを連れて隊は進むがやがてそれが困難となってくる。隊の安全を優先させるため隊長であるアンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グルーソン)は、もはや風前の灯と思われるグラスを置いて基地に戻ることを決定しグラスの最後を見届け、弔うように3人の志願者を残す。しかし残された三人のうちの一人ジョン・フィッツジェラルドトム・ハーディー)が他の二人がいない隙にグラスの殺害を試みるがグラスの息子ホーク(フォレスト・グッドラック)に見つかってしまう。グラスを助けようとしたホークをジムは返り討ちに殺してしまう。もう一人残ったジム(ウィル・ポーター)にそれを悟られるものの言いくるめ、グラスを置き去りにして基地へと戻っていた。瀕死のグラスはその一部始終をを見ていたが重傷のため身動きができず置き去りにされてしまう…。しかし強靭な意志と体力でグラスは死地を逃れることに成功し復讐を胸に抱いて息子を殺した宿敵の後を追跡する…みたいな、息子を殺された男の復讐劇を軸に西部開拓時代の大自然やら人々の軋轢による抗争やらの悲哀を描く156分のお話。

 

まず第一印象としてはデカプリ老けたなぁ、だった。初期の作品のイメージが強いためまだ若い感じがしてたんだけど、もう立派なおっさんだったことに驚いた。まあ当たり前の話なんだけど。私の中では日本の酒のCMに出てた頃の風貌の印象のままで止まっているのでちょっと驚いた。そりゃ私も老けるはずだわ…。

 

話的にはデカプリの復讐譚とは別の軸としてネイティブアメリカンアメリカ人、ネイティブアメリカンの部族間の抗争という軸がある。フランス人も出てくるが彼らとはネイティブアメリカン達は争ってない。むしろ商談とかしてる。1815年の英米戦争の停戦によりアメリカは国内拡張路線を進んでおり、アメリカ人の西部進出、所謂アメリカ人による西部開拓が進んでいくわけだが、その中でのネイティブ・アメリカンとの衝突も作中で描かれている。血で血を洗う抗争な分けなんだが襲ってくるネイティブアメリカンの戦闘能力が結構高いことにビビる。音もなく忍びより音もなく弓で射殺される。これが怖い。大体が、ネイティブアメリカン強制移住させるという暴挙に対しての反発であり、自業自得なのだが、狩られるものと言うのは「プレデター」的な恐怖で凄まじい。作中のアメリカ人たちは皆、ネイティブアメリカンのアリカラ族にビビっておりその戦闘能力の高さに対する恐怖の大きさがうかがえる。しかしそのネイティブアメリカンにしても一枚岩ではなく各部族での対立が作中でもうかがえる。結局の所、大小無数の対立が存在し混沌としている。そしてその全てに復讐とか憎悪と言う炎が宿っている所も怖い。負の感情の連鎖。加速度的に大きくなっていく復讐や報復。結構な感じで人間の芯の痛い所をえぐってくるお話で現代社会とリンクしてて、色々考えさせられる。ただ復讐と言う衝動は生きる動機にもなりえるようにも思う所が困ったとこなのだが…。

 

生きる。生き抜くという事は戦う事だ。本作の核心はそんなお題目だと感じる。しかしそれは戦い=争いではなく。生きる事こそ戦いだと問う。息をしろ、息をし続けろ。作中でそのフレーズを聞いた時そう感じた。本作の主人公であるグラスは最愛の息子を失い生きる術を亡くした。そして復讐にその命を生かされることになるのだが、物語の決幕にある決断をする。その答えが映画ならではのご都合主義とは思えない。最終的にその選択は思考放棄とか他人任せとか揶揄されるかもしれないが、思いを断ち切るという事もあらゆる葛藤を突き抜けた先の悟りの選択と言えるのではないだろうか。私はそう感じた。いや正直私には無理な選択だが。多分私なら、某映画のようにブギーマンになるだろう。ぎゃふん。

 

長い時間の映画なのだが個人的にはそれほど長く感じなかった。これは雄大大自然の画力に寄る所が大きい。陳腐な言い回しなのだが自然の画が非常に良いのだ。山とか川とか風景がとにかく綺麗なのだ。サバイバルなアベンジャー的な話と対比する感じで穏やかで雄大、実に美しい。この映画を見て確信したのだがどうやら私は海よりも山の方が好きなんだという事に気が付いた。どーでもいいことなのだが個人的な発見だった。それだけども見た価値はあった。そう思う。

 

 

 その大怪我がそんな短期間で回復するかい!などと野暮な突っ込みはしてはいけない。デカプリはそういう性能なのだと信じてみるのが正しいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「新・忍びの者」(1963)オリジナルでもなく続でもなく新から見てしまった…。

手に入りやすい物から少しずつ…。みたいな感じ。とにかく市川雷蔵成分が欲しい。

 

物語は石川五右衛門物。豊臣秀吉東野英治郎)の暗殺に失敗して窯ゆでの刑になった石川五右衛門市川雷蔵)は替え玉だった。徳川家康三島雅夫)の密命を受けた服部半蔵伊達三郎)の助けで窮地を脱した石川五右衛門は秀吉に妻子を殺された復讐を果たすべく秀吉に迫る…みたいなお話。86分白黒。

 

石川五右衛門と言うとFCソフト「がんばれゴエモン!からくり道中」のビジュアルが真っ先に思い浮かぶ。なんか傾いてるあの格好。そんな人間なので本作の市川雷蔵演じる所の真っ黒な忍び装束の真っ当な忍者ビジュアルの石川五右衛門は正直ピンとこなかった。しかし客観的に考えると本作の姿が正しいとは思う。目立っちゃいかんものなぁ忍。

 

太閤秀吉の朝鮮征伐を歴史背景に暗躍する忍者の活躍を描く本作だが一番びっくりしたのはその音楽だったりする。渡辺宙明のクレジットを見た時にちょっとびっくりした。特撮だけじゃないんだね。よくよく調べると最初はこっち系の音楽やってたというのを本作を見て知った。と言うかまだご存命という事を知りビビる。御年91歳だそう。長生きしていただきたいと切に願う。

 

物語的には正直微妙な出来のような気がする。つまらなくはないが面白くもない。人としての尊厳や価値について語る話。不平等が普通の世界で権力者に振り回される人間達の不条理を描いた作品でどことなく左な感じがする。しかしそんなこと関係なくカッコいい市川雷蔵と若かりし頃の若尾文子の別嬪さんぶりが半端ないファンムービーなのではないかと思う。

 

あと東野英治郎水戸黄門にしか見えない世代なのだが確かに秀吉もはまり役な気はした。

 

 

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忍び装束を着てこれだけ格好良いのは中々いない。ような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「火線上のハテルマ」全8巻 一粒で2度おいしいと思うか、味が変質したと思うか…。

どちらなのか判断するのが難しい。個人的には五分五分な感じ。

 

せきやてつじ作品。ビッグコミックスピリッツ誌上にて2013年~2016年まで連載されたトンデモアクションマンガ。この作者の他の作品は「ジャンゴ」は読んだことがあるが他は読んだことがない。

 

過去の失敗にトラウマを持つ日本人の元警官、梶。一族の恥と厄介払いで飛ばされたアメリカの地で梶は一人の男と出会う。男の名は波照間。謎多き凄腕の傭兵。波照間の強さに魅せられた梶は、波照間の所属する「エンパイアー・スクワット」なるSS*1集団に入隊を希望する。心に傷を負った梶の誇りを取り戻すための闘いの日々が始まる…みたいな話。

 

当初、普通のSS社会派人情物のような感じで始まった漫画なのだが物語中盤から超展開を向かえてオカルトSF的な週末黙示録と化す混沌とした物語。これを是とするか非とするかは各々の趣味が問われる所ではある。どちらかと言えば圧倒的に非の意見の方が多いような気がするが、個人的にはこんなトンデモオカルトSF展開も素敵なんじゃないかなとは思うのだが。物語序盤でもそんな感じは多少匂わせてる所もあったしね。ただ序盤の硬派な社会派人情SP物の線も面白く捨てがたい気もしないではない。ゆえに非の気持ちが分からんわけでもない。しかし綺麗にまとまった作品よりも歪に破綻したとしてもはっちゃけた作品の方に浪漫を感じる性質なのであえてこの路線に向かっていった事を評価してあげたい。素晴らしいハラショー!後半の中二病を拗らせっちゃたような頭の悪そうな世界観も個人的にはツボだったりする。良い。

 

話の長さもコンパクトにまとまっており個人的には満足な作品である。ただこの作品ウィキペディアにすら紹介されていないので人気はあんましなかったんだろうなぁ…。ぎゃふん。

 

 

火線上のハテルマ 8 (ビッグコミックス)

火線上のハテルマ 8 (ビッグコミックス)

 

 十字軍とか不死者とか…頭悪くて…最高なんじゃ。

「新選組始末記」(1963)古い時代劇を見たくなったのだが何を見ればいいのかよく分からなかったので…。

とりあえず俳優に当たりをつけて見ていこうかと思い、市川雷蔵に当たりをつけた。選択の理由は単純に名前がカッコいいから。だって雷蔵ですぜ。字面がカッケーぜ。結果、大当たりだったような気がする。面白かった。

 

物語の内容は題名の如く。京都での新選組結成から池田屋襲撃までの顛末を山崎烝市川雷蔵)を主人公に描く93分。

 

京都で浪人をしていた山崎烝市川雷蔵)はひょんなことから新選組近藤勇若山富三郎)と知り合うことになる。その際、武士の本懐とは男の心意気であると説明された山崎は近藤に惚れ込み、医学を志す恋人・志満(藤村志保)の反対にもかかわらず新選組に入隊する。そんな折、局長・芹沢鴨田崎潤)の粗暴な振る舞いを憂慮する近藤と同志の土方歳三天知茂)が芹沢鴨らを謀殺する事件が起きる。組織を掌握し、近藤が局長、土方が副長の新体制になった新選組には入隊者が激増し、新選組は日増しに大きくなっていったが、山崎の心には何か釈然としないものがあった…みたいな話。

 

市川雷蔵と言う名前は知っていたが作品は見たことが無かった。今回始めてみたのだが、これがすこぶる格好良く、面白かった。作風もハードボイルドな時代劇で非常にクールな感じで素敵。まあ題材が新選組なんで登場人物は殆ど野郎ばかりなのだがこれがまた硬派な感じで非常にイイ。非常にスタイリッシュな剣戟やら映像でもうたまらん感じ。市川雷蔵演じるところの山崎の青臭い理想に苦悩しながらも己の信じた道に命を賭ける件も良い。若山富三郎演じるところの近藤勇も良い。朴訥ながら信念を貫く田舎侍な感じと、その殺陣の美しさは素人ながら素晴らしく感じた。とにかく殺陣が美しい。噂には聞きていたのだが若山富三郎の殺陣は良い。主役をも喰う出色の出来だと思う。あと天知茂演じるずる賢さと意地悪さを兼ね備えた土方もまた良い。最近の新選組物だとなんかいい人になりがちだけど鬼の副長の異名を持つんだから憎まれ役であって欲しい。そんな願望を具現化したようなキャラで個人的には大満足だったりする。殺伐とした死生観も良く、美しくもなく、むごたらしい。死んだら無、そんな感じ。維新前のその凄惨な表現も凄く良い。

 

密偵役である山崎を主人公に据えた珍しい作品であるが、単純に市川雷蔵のカッコよさを認識した1本ともいえる。時折何とも言えないカッコいい姿に映るカットがあり目を奪われる。ああ、なるほどこれは人気が出る。納得させられた。昭和の格好良さだ。物語も揺れる組織の中の群像劇として面白いと思った。

 

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 結果、若山富三郎の過去作もチェックしたくなる作品だった。

「俺たちのフィールド」全㉞外伝①熱いのは嫌いじゃないし暑苦しくても全然大丈夫だが・・・・。

正直暑苦しくてクサすぎる。浪花節を超えた超難波節節。そこに耐性があるかないかで評価が変わる。リアルタイムでは物語途中で断念してしまったが結末は気になっていた…。因みに私はリザーブドックスの件で挫折したのだが、今回最後まで読み倒したよ。

 

村枝賢一作品。1992年~1998年まで週刊少年サンデー誌上にて連載されたサッカー漫画。全34巻プラス外伝1巻の合計全35巻(コミックス版)の大長編…。

 

 憧れのサッカー選手であった父を交通事故で亡くした主人公高杉和也の少年サッカーからワールドカップまでの道程とその後を描くフットボール群像劇みたいな話。

 

Jリーグ発足の2年前から連載が始まり、Jリーグの黎明期やW杯の日本代表の初出場なんかと連動して連載されていた作品だったのを覚えている。当時はサンデー買って読んでたなー懐かしい。同時期はJリーグ発足の盛り上がりもあり、やたらと少年誌でサッカー漫画の連載が多かった気もする。本作もその中の一つ。ただサッカー的な描写は漫画チックで大味だった印象を持っていたのだが、今回読み返してみてそれを再認識した。うん。何かね大味なサッカーなんですよ。改めて読んでもその認識は変わらなかった。微笑ましくはあるんですがね。作中は当時でも突っ込みを入れたくなるような話が多く、良い意味でも悪い意味でもマンガマンガしている。

 

個人的に漫画において重要だと思っているのが作品の中の現実感と言う奴だったりする。ミソなのが本当の現実ではなく、その物語の中の現実と言う所。要は作中ではそれが現実!と感じさせてくれるかどうかだと思う。その現実感と言うのが序盤から中盤まではギリギリアウトな感じで描かれていて、後半は完全アウト!みたいに当時の私は感じた。これがキツク当時の私は読むのをやめてしまったのだが、今回読み返してみるとこれはこれでありだなとも思えた。…これは単に感覚が劣化したのか読み手である私の懐が深くなったのかはさておき、最後の最後の外伝まで楽しく読むことができた。

 

結論的には面白かった。サッカー描写はさておき、この作者の真骨頂はそういう所ではなく、熱い人情話的な所なんだと思う。冒頭にも書いてけど基本、難波節な人なんだろう。この作者の作風から言ってもそっちの話がメインで書きたい人なんだろうと感じる。最終的にこの作者が仮面ライダーを書くとこに行き着くというのは個人的には超納得な感じだったりする。

 

 

 キャラで好きなのはダミアン・ロペス、騎場拓馬、伊武剣輔かな…。濃いな…。ぎゃふん!

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイアン・フィスト2」(2015)アメリカ発武侠映画の完全なる続編だが…。

普通シリーズ物と言うのは回を重ねるごとにスケールアップするものだが、本作はスケールダウンしている.。劇場未公開のソフトスルーなのも納得な作品。

 

物語は完全なる続編。前作で愛する人と両腕を失い、鋼鉄の腕を得たサディアス(RAZ)。彼は安息の地を求め旅に出た。しかしどこまでも因縁はついて回るようで前作で倒した銀獅子の弟を名乗る輩に襲撃される。撃退には成功したものの自身も深い傷を負い川に流されてしまう。そんなサディアスが流れ着いた先はホー組長が支配する鉱山の村だった。村の顔役リー・クン(ダスティン・ヌエン)の娘イノセンス(ピム・バベア)に助けらたサディアスは村で養生する中、理不尽な圧政に苦しむ村の惨状を目の当たりにする。心の平穏のため不戦を誓い、鋼鉄の拳を封印していたサディアスだったが圧政に苦しむ村の者らの為についに立ち上がる…みたいな90分のお話。

 

監督はロエル・レイネと言う人らしい。私はこの人の他の作品を見たことが無い。結構たくさん撮っている人の様だがそのラインナップを見ると…推して知るべしナ作品ばかりだったりする。本作を見る限り、きっとそういう映画専門の職人のような監督さんなのだろう。

 

映画の感想としてはまずショボい…。とにかくショボいのである。冒頭にも書いたがスケールダウン感が半端ではない。演者、舞台、お話までとにかく前作を大きく下回る出来になっている。前回はラッセルクロウだとかルーシー・リュウだとか異常に豪華だっただけに比べるとショボさは否めない。逆に演者がショボくなったおかげでさびれた中国感は増しているのだが。何たる皮肉…。

 

主人公であるRAZの出番も少ない。と言うか話の流れ的にはダスティン・ヌエンが主人公だったりする。RAZはオブザーバー的ポジションで最後のおいしい所だけ持っていく。そんな感じ。

 

物語の展開は、リー・クンが村を牛耳るホー組長の圧力に耐えがたきを耐え、忍び難きを忍びぬいた末、怒りの大爆発で大乱闘みたいな感じ。いわゆる功夫映画の黄金パターンで凄まじいほどのベタ展開。多少の驚きも用意されているが殆ど想像の範疇の出来事だったりする。もはや清々しいほどのベタ。しかし嫌いじゃないその読み筋展開。個人的には、むしろそういうのが素敵に感じたりする。

 

この映画で一番印象に残っているのは決めのどや顔だった。歌舞伎でいう所の見得を切るってやつ。武侠功夫映画でもこれって重要な要素だよね。滑稽にも感じるけどないと寂しいそんな感んじ。アクションの最後にする、やったで!どや!っていうこの感じはすごく香港武侠映画っぽい。どや顔重要。素敵。しかし日常生活でどや顔決めてる人を見ると引くんだけどね。不思議だね。ぎゃふん!

 

 

 しかし一番感動するのはどんな国の人間にも香港武侠映画の素晴らしさが伝わるというこの事実!作品の出来不出来はひとまず置いといて武侠映画フォロワーとしてぜひとも頑張って新たなる武侠映画を作っていただきたいと強く感じるわけであります!頑張れ!フォロワー達!

 

 

 前作の感想はこちら。

g029.hatenablog.com