2020年の映画。公開前の期待を思い出す。
伝記映画。エジソンとウエスティングハウスによる仁義なき電力をめぐる闘争劇。黎明期の電気の供給システムの利権をめぐる仁義なき戦い。
非常に面白そうと期待していたのだが思っていたほど面白くなかった。いや、つまらなくはなかったが、少しハードルを上げすぎた感じか…。
本作は全編通して静かな感じで淡々と進んでいくまっとうな伝記映画であった。画作りはスタイリッシュでかっこいい。淡々と進んでいくストーリーにのれないわけでもない。役者陣もカンバ―バッチ、マイケル・シャノンを軸に申し分ない。…のはずなのだが、最終的にモヤモヤした。
正直な話、主要登場人物が良いヤツ過ぎるのだ。これから巨万の富を賭けて伸るか反るかの大博打をしてる連中が紳士すぎるのは現実感が乏しいし人間味が薄い。もっと恨みつらみの執念じみたものが欲しかった。確かにお互いに転覆工作合戦の応酬はあるのだが、非常にお行儀が良い。違法行為があるとはいえ紳士の範疇じゃん。そもそもネガキャンを展開するような人間がそんな紳士かね。もっとドロドロのグッチャングッチャンの胸糞展開でもよかったと、本性のさもしい吾輩は思うわけですよ。
結論としては、偉人とは言えエジソンにせよウエスタンハウスにせよ、子孫がこの映画を非難するくらい超弩悪党でもよかったのではないか。
とか、思ったりした。映画だし。
あ、でも二コラ・テスラのちょっと病的でエキセントリックな感じはよかったです。
鑑賞時間108分。