真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

「トラップ」を観た話。

 シャマランの新作を観てきた。正直、そんな熱心なシャマランファンではないのだが、劇場で予告を観て気になっていたので観に行ったのだがこれが正解、面白かった。

 物語は、子煩悩で人の好さげなオヤジ、ジョシュ・ハートネットが学校の成績が良かった娘のご褒美に娘の好きなアーティストのコンサートに連れていくのだが、何やら会場が物々しい雰囲気。監視カメラや警備・警察の数が尋常でない。そのコンサートは実は「ブッチャー」と呼ばれる連続猟奇殺人犯を捕まえるための壮大な罠だったのだが実は…みたいな話。

 これ何が面白かったかというと、前半と後半で視聴者の主観の在りかが反転するところが面白かった。前半は明らかに主人公が視聴者の主観になるような構造で、コンサート会場で袋のネズミとかした主人公が徐々に包囲網が狭まる様を観て、真綿で首を締めあげられるような緊迫感を主人公と供に味わう仕様になっている。ところが中盤からの展開で今度は一転、主人公に追われる側に主観が切り替わり、得体のしれない恐怖が間近に迫ってくる圧迫感を味わう仕様になっている。ようは一回で二度おいしい仕様なのだ。いい転調。

 しかし今回、ジョシュ・ハートネットを意識して久しぶりに見たが、子煩悩でありながらサイコ野郎という主人公の二面性を見事に演じていて素晴らしかった。私の中では彼のランクが、かなりぶちあがったことをここに記しておく。

 シャマラン作品って、個人的には何時もどこか消化不良な作品が多い印象の中、今回は非常に満足した。良かった。以上。