真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

結局の所、本当に怖いのは人間。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」

 

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1968年の映画。久々に「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を見返したという話。

 

ホラー映画が苦手だったのだが加齢とともに平気になってきて、今は好きなジャンルになっている。単純に憶病な性分なのでびっくりしたり背筋の怖くなるものが苦手だったのだが、加齢による感情の鈍化が原因なのか不思議とそうゆうのを楽しく観れるようになってきてしまった。まあありていに言えば老いが俺を変化させたのだが、それが良いのか悪いのかはさておき、現在絶賛ホラー視聴中の体勢だったりする。とはいえ怖いもの見たさで過去に見たことのあるホラー作品もちらほらあるわけなのだが、本作はそんな数少ない視聴済み作品だったりする。苦手にも関わらずなぜ本作を観たのかと問われれば、そのタイトル故に見たと答るしかない。そのポップでかわいいタイトルロゴと「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」というタイトルの言葉の響き…なんちゅうかっこいい響き。とマジでタイトルで見る気になった「タイトル観」作品であった記憶がある。正直な話、今でも「ベストオブいい響きのタイトル」と思う。なんとも厨二心をくすぐるタイトルよな。

物語の大筋は、突如現れた生ける屍(食屍鬼。作中ではゾンビとは呼称されないがめんどくさいので以後はゾンビと明記する。)の群れから身を守るために逃げ込んだ民家で偶然寄り集まった人間達の群像劇で主な登場人物は7人。一人だけが黒人で他は皆、白人である。もっと言うと生ける屍も全部白人で、登場する黒人は一人だけである。この辺の人種配分から不穏さがあるし、意図的なものを感じる。案の定、立て籠りの中で、その黒人と普通の中年白人との意見の対立を軸にストーリーが進行していくのだが、主義主張も嚙み合わず、やることなすことも上手くいかず、軋轢が最高潮になって暴発して終わりを迎えるのだが…本当に救いのない話だ。

でもそこが良い。

正直画像も白黒でゾンビも特殊メイクしているとはいえさほど怖くなく、当時の俺が見るにはちょうど良いハードルの低さだったので観たのだが、思いの外考えさせられる良い映画だなと思ったものだ。今回見直してもやはりいい教訓映画だなと感じた。そもそも対立軸となっている二人の意見はどっちも間違っていないし、結果を見るとどっちも間違っているという、行きつく先は同じという不条理感。何ともやるせない。しかしそこが良い。

ありていに言えば一番怖いのは結局の所、人間よな。

 

鑑賞時間96分。