真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

80年代ロス近郊の若者の閉塞感。「レポマン」

 

1987年の映画。アメリカ公開は1984年。若いエミリオ・エステベスが良い感じにチンピだった話。

正直、エミリオ・エステべスが出てなければ見なかったかもしれない映画。普通にろくでなしと愚か者しか出てこず、真っ当でない仕事も、真っ当な人間がしなければならない時代で、半端ない終末感と閉塞感が漂う。主人公のオットー(エミリオ・エステベス)が物語冒頭、ホームセンターでの仕事に嫌気さし、ブチ切れるシーンが印象的。若者特有な稚拙な危うさ、まともに生きても望むほど報われない人生に対する怒りと焦燥感が、画面に越しに伝わってきた。エステべス、いい仕事してる。糞のような社会で、権力や金に人生を踊らされ、そして誰もかれも、死ぬ。そんな感じの話を次から次へとたたきつけてくる、正にパンクでアナーキーでノーフューチャーな感じ。結局オットーも自動車差し押さえを生業とするレポマンになり、ろくでもない方に人生が転がっていく。最終的に宇宙人をトランクに積んだ車をめぐってすったもんだするのだが、この年代のアメリカの若者が真に自由になるには、トランクに宇宙人を積載した車で宇宙にでも飛んでかないと自由になる方法がないと示しているようで、閉塞感と絶望感が半端なかった。

どんなディストピアだとか思ったが、昨今の日本の現状を考え見るにこれが意外と普遍的な問題であり、未来永劫に続く問題なのだとか思ったりしてゲンナリした。面白いか面白くないかはさておき異様にパンクな映画っだった。

 

鑑賞時間92分。