真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

初完走。「もののけ姫」

 

1997年の映画。観よう観ようと思って早26年…。初めて完走しました。とりあえず感想を刻んでおきます。

ジブリと私。もしくは駿と私。

ジブリ映画が好きか嫌いか問われれば「嫌いではない」と答えるのが私のスタンスです。では本当に好きなのかと問われれば、「多分…」としか言いようがないような実績しかありません。過去に私が見たことのあるジブリ映画は、ナウシカラピュタ、トトロ、魔女宅、火垂るの墓の5作品のみ。実際のところ、嫌いではないが過去作5作品しか見たことがなく、興味はあるものの別に手を出さずとも普通に生きていけるぐらいの好きしかないのです。括りを駿関連に広げたところでこのラインナップに漫画版ナウシカカリオストロがたされるくらい。正直なところ、映画版ナウシカくらいしか話の内容をしっかりと覚えていません。そんな感じな私なのですが、本作は公開当初から「これは駿のこれまでの作品の総決算的な匂いがする」と勝手に感じ、1度は観ねばなるまいと心に誓った作品だったのですが機会がなく、というか、作らずに今日に至ってしまった次第です。しかし今回ようやく重い腰を上て機会を作って観たという話です。

ざっくりとした感想

日本の中世によく似た世界で、もののけと呼ばれる神々の眷属と人間との争いを描いています。結論から言えばとても面白かったです。予想通り宮崎駿の1997年代に至るまでの集大成的な作品であり、2000年に至る前での駿のベスト作品でしょう。戦争やら太古の叡智やらこの世ならざるものやら成長と喪失やら…。これまで扱ってきたテーマを総括しつつその全てを昇華した感じです。東の蛮族の村で純粋培養された正しすぎる青年の目を通して人間の業について考える話であり、戦争や自然、繁栄や衰退、各種問題に対する駿なりの着地点の提示の話のように感じました。個人的には「世の中どうにもならんけど、もう少し俺が俺がだけじゃなくて自分以外の物や事柄をおもんばかれや」と言われているようなきがしました。昨今の世相を考えみると、その着地点は非常に正しいけど加速度的に世界は逆方向に突き進んでいるなという感じですね。

 

一番心が引っ張られたのは…

魅力的なキャラクターが目白押しな本作ですが私が最も心惹かれたキャラクターは、まっすぐなアシタカや純粋なサンではなくエボシ御前だったりします。酸いも甘いもかみ分けた、聖者にも悪党にもなり得る、正しく人の業の象徴のようなキャラクターであり非常に人間味のあるキャラクターだと思いました。キャラとしてのウェイトも重く、物語の終盤にアシタカが右腕に負った呪いから解放されるのに対してエボシ御前が右腕を失って終わるのもサンとは違った意味でアシタカと対になっている感じがいいですね。エボシ御前。また、それでも生きてるし、生きていくというところに正直痺れます。過去がどうあれ現状がどんなに無様で悲惨でも生きている以上、生きていく以外に選択肢などない、というその感じがたまらんです。継続して全うする。そこに非常に体重がのっている感じがして、好きなんですよ。エボシ御前。

最後に

あーだこーだ書き散らかしましたが単純にヒロイックなファンタジー物として面白かったです。今更ということは重々承知ですがこれは確かに傑作ですね。はっはっはっ。もっと早く観とくんだった…。

 

しかしよくよく調べたらジブリ作品って全部で24作品あるんですね。まだ観ていない作品が18作品もありますよ…。正直なところ一番楽しそうなのを観てしまったかもしれません。そんな現状を考えるのとあまり乗り気ではないのですが、冥府魔道を行くがごとく、ぼちぼちと観ていこうかなと思う所存であります。…少なくとも駿作品だけでもコンプリートしたいと思う今日この頃です…。

 

鑑賞時間133分。