真空断無弾

日々の色々な事柄の忘備録的感想。戯言。

暴走するハゲ/アドレナリン(2006)

本来なら始まらなくてもいい物語である。

なぜ遅効性の毒などをステイサムに打ったのか?

ホームランを打つほどの襲撃を成功させたのならなぜそこで止めを刺さなかったのか?謎である。このハゲ相手に何故なのか?.

正直、私には解せない…。

 

ネタバレありの感想なのでご注意を願いたい。

 

 

アドレナリン [DVD]

アドレナリン [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2007/11/23
  • メディア: DVD
 

 

 

「そんな野暮なことを言ったら、物語が始まらないではないか」

 

私はそんな思考の持ち主である。

故に話しが面白ければ統合性や必然性が無くともそれはそれでOKなのである。

「無理が通れば、道理が引っ込む」

私にとっては「面白さこそが正義」なのだ。

 

正直、話の筋はあって無いようなもので、端的に言えば興奮し続けなくては毒で死ぬステイサムが飲んで、打って、犯って、殺す話である。

まるでGTAのようにゲーム的なアンモラルな展開が、あるいは悪趣味なシュチエーションコントのようなお話しが延々と続く。

 

いやはや…最高か。

なんとアホで素敵な話なのだろう。

 

公衆の面前で彼女と青姦しながら「俺は生きている!」とのたまい握りこぶしで万歳する場面などはアホの極みにあると思われる。

…断っておくが、そんな願望は私には全くない。

ただ、面白いとは思った。

 

今回久しぶりに本作を見直したのだが、やはり突き抜けてアホでよかった。

これはステイサムの代表作一つであるとかってに私は確信している。

なにも考えず、87分のステイサムの饗宴に酔いしれるのが正しい鑑賞法なのではないかと私は思っている。

 

私は本作を本当に面白いと思っている。が、中途半端に近しい人にはお薦めはしない…。

 

察すべきである。そういう映画である。

 

それを見たとき私は思った。/創竜伝14 〈月への門〉

「なんと言うことだ…」

本屋でその新刊を目にした時、私は一人、思わずつぶやいた。

「なんと言うことだ…」

その本を手にして裏表紙の帯の文字を読み、本屋で思わずつぶやいてしまった…。

そこには「2020年完結予定」との文字がしっかり書いてあったのだ。

「本気か?正気か?マジなのか?」

不敬を承知で私は呟いていしまった…。

「ひょっとして…田中芳樹氏、死んでしまうのではなかろうか…」

 

創竜伝14 <月への門> (講談社ノベルス)

創竜伝14 <月への門> (講談社ノベルス)

 

 

  死ぬ、は言い過ぎだが、死なないまでも引退くらいは視野に入れてるのかもと私は思った。

よくよく考えてみると、ここ最近の氏の物語のたたみっぷりには考えさせられる所がある。タイタニアを皮切りに、アルスラーンときて本シリーズである。

怒涛のたたみっぷり。内容は…ともかく凄まじいたたみっぷりである。

調べてみると氏は年は今年で67歳であるらしい。

一般社会の定年の上限が延びているとはいえ、もうリタイヤしてもいい頃合ではある。

これまでの言動や素行から言ってもあながち無い話ではない。

しかし…。

 

「やはり死ぬんちゃうん…?」

私はまた不敬なことを思ってしまった。

 

小説家は別に書かなくても小説家では無いのか。

たんに肩書きだし。死ぬまでやれるけどとも私は思った。

「書かない小説家はただの豚だ」とは誰も言わないではないか。

「ならば死ぬまで働け!」

人というのは他人に対しては厳しく当れる生き物であるということを私は知っている。

勝手な話である。聞き流して欲しい。

 

実際のところ作品が完結するのはうれしい。中途半端は良くない。結末まで読みたい。きっちり憂いなく人気シリーズの幕を引いて悔いなく残りの作家人生をエンジョイして欲しい!と私は強く思った。

その結末が面白いか面白くないかは別にして…。

  

しかし、前作から時が経ち過ぎである。内容のほうは私はほとんど忘れてしまっていた。しょうがないのでリハビリがてら前の巻から私は読み直した。

堂兄弟のパート。敵役のパート。時事ネタ皮肉パート。

三位一体の物語であったことを私は思い出した。

 「ああ。そういう話であった」

作中にスマフォが登場するなど、しれっと現代にアップデートされていたり、突っ込みどころは結構あるのだが正直私はあまり気ならなかった。

むしろ懐かしさと面白さの方が勝った。と言うか本当に懐かしい。

この作品読み始めたのは中学生だったような記憶が…。

「うっ、頭が…」

 

「しかしこれ本当に後一冊で終わる事が可能なのか…」

広げた風呂敷は途方もなくでかいように私は感じた。

たためるのか、否か…。もっとも悩むのは私ではなく作者のほうである。

不安と期待を持ち来年の新作を楽しみに待とうと私は思った。

 

しかし…「本当に出るのか?」

 一抹の不安を持ちつつも私はワクワクしている。

 

 

 

その視点の角度が肝心/僕の人生には事件が起きない

確固たる己の意見を通すために必要な物とは何かと言われれば、周りの空気を読まないことであると私は考える。

周りの空気を読まないとはすなわち、人に流されず、ただ己が正しいと信じる正論をブチかますということに他ならないと私は思う。

己の意見を通すために必要な物はそれだけではないが、まずそれが肝要である。

と私は思った。

 

「言葉とは,これすなわち呪いなり!」

闇の中で私の叫び声とともに落雷が私の背後で鳴り響いた。

 …特に深い意味はない。…医者はどこだ? 

 

僕の人生には事件が起きない

僕の人生には事件が起きない

  • 作者:岩井 勇気
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

本作はお笑い芸人ハライチの岩井勇気氏の初エッセイ本である。

その大半は真っ当な正論であり筋が通っていると私は思った。

ただ正しい。それに尽きる。

氏は良く腐ってるとか捻くれてるとか揶揄されているが、ただただ正しい事を言っていると私は感じた。

お笑い芸人らしくわざと空回ししたような文章もあるが大半はウイットに富んだ文章で正論を語っている。

それが素敵に感じるかクドく感じるかは個人の資質によるだろう。

私は氏の文章や意見に魅力を感じた。

あらゆる事象に流されてきた私としては、ブレない姿勢の氏に好感と畏敬の念を感じた次第である。

 

「それに引きかえ私の面の皮は限りなく薄い…」私は一人呟いた。

 

個人的な本作のハイライトは、作中で氏の父親が使用していた「捨て!」というパワーワードであった。

 

「なんと素敵なお言葉か!」 

 

私はその言葉に心奪われた。

その言葉を使った情景や気持ちも凄く共感できる。

何よりその言葉の強さ!そのパワーワードをどこかで私も使いたい!と言ういうか無理やりにでも使いたい!

 

「捨てー!」

   

何はともあれ、氏の次回作を今から期待している私がいる。

それで万事よいのではないか。合掌。

 

 

 

 

思いのほか味付けが…/ミックマック(2009)

 

「薄いんじゃない? 」

 

ミックマック [Blu-ray]

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ジャン=ピエール・ジュネというと代表作はアメリになるのかもしれない。

しかし私はそれを見ていないので何とも言えない。

ただ彼の初期作品「デリカッテセン」と「ロストチルドレン」は見ていて面白いと感じた記憶が私にはある。

特に「ロストチルドレン」に私はやられた。

その独特などぎついブラックユーモアに私は痺れた。

しかしそれ故、マスに向けての作品は厳しいのではという印象を持っていたのだが、作品によって出力調整できる大人な監督だったという事を、アメリがヒットした時に私は感じた。

 

私は観てはいないのだけど…。

 

本作は、地雷と銃によって幼年期に父親を、大人になってから自身の全て、職と住処を失った主人公がその原因を作った軍需企業を仲間とともに天誅する105分の復讐劇である。

ど底辺のイカレタた異能者達が武器商人のブルジョア達に天誅を喰らわす物語なのだが、私にはなんとも消化不良気味であった。

 

アメリ」以降の作品なのでどう作風が変化したのだろうと思っていたのだが、基本変わりなく、そのことは杞憂に過ぎなかった。

凄惨かつ陰惨な感じになりそうな内容を、持ち前のブラックユーモアで軽妙かつケレンミ溢れるテンポの小気味良い作品に仕上げている。

が、正直破壊力に欠けているのだ。

 

何か物足りないのである。

 

悪徳武器商人達を清貧な異能者の主人公達が懲らしめるという勧善懲悪物なのだが正直、痛快さが不足しているように私は感じた。

それは悪徳武器商人たちが決して完全なる悪では無いという所が原因なのかもしれない。

常世界と地続きの問題を意識させた、意図した作りなのかも知れないが、そのせいで正直いまいち乗り切れないのだ。

それが味なのは分かるが私は乗れなかった。

悪の養分が足りない…。

 

主人公サイドが超絶有能一芸フリークス過ぎるのもパワーバランス的にどうかと思った。

もう少しフラットなポンコツ人間がたくさん居た方が面白かったような気がする。

逆に主人公サイドがそこまで異能な軍団ならば、もっと強大な敵に立ち向かわなくてはカタルシスが足りないのではないかと私は思ってしまった。

はや二十年…。/くるりのこと

くるりはデビューからずっと聞き続けているバンドである。

早いものでもう20年ほどの時が流れたらしい。

時の移ろいは早いものであると聞いてはいたが体感するとその言葉の真実味が身に染みる。

気持ちや感覚は20年前とほとんど変わらないが、鏡に映るその容姿は確かに年を積み重ねている。

20年。なんとも怖いものであると私は思った。

 

 

くるりのこと (新潮文庫)

くるりのこと (新潮文庫)

 

 

本作はそんな20年間のくるりと言うバンドの記録と記憶の書である。

えらい物で本作で語られている大半のことをほとんど私は既に知っていた。

これはその時々のメディアで書かれていた事や語られていたことをしっかり読み聞きしていたと言う証拠であろう。

今ほど情報が簡単に手に入らない時代の話である。

 

「どれだけ熱心やねん」と私は少し照れた。

 

あまり難しいことを考えず本書を読了した私はかなり懐かしい気分になった模様である。

 

「こうやって一冊の本になるほどにくるりは上がってしまったのだな」

 

そんな感想を抱いて、私は感慨深く感じた。

 

単純なファンである私にっとってはこれはマストな一冊であったように思う。

明らかに原題が本作の全て。/ボーダーライン(2015)

いい加減、原題から変更するタイトルをやめた方が良い案件。

痛切に私は感じるのだが…。

大抵原題より劣るのだから。諸兄らはどう思う?。

 

原題は「Sikario」スペイン語で殺し屋とのこと。非常にしっくりくるタイトルである。物語はメキシコの麻薬ルートの覇権をめぐる物語で凄く 面白かった。この世の地獄を、闇の世界をを1人往くベニチオ・デル・トロがかっこよすぎる案件である。その非情なアベンジャー振りが群を抜いて格好よろしいと私は思った。

彼の立ち位置は完全に闇の中である。そんな彼がエミリー・ブラントに警告する所が最高である。闇の住人であるデニトロが、黄昏に立っている彼女に引き返せと警告する所がこの物語のハイライトのであるような気がする。続編もあるので非常に楽しみである。正直、物語云々よりベニチオ・デル・トロのキャラだけでご飯何杯でもいける感じなのだが…。

 

「目の垂れた、劣化ブラピだとずっと思っててすまん…」

 

もはや平身低頭して詫びる事しか出来ない私がいる…。

ベニチオ・デル・トロ。あなたは最高の役者である。

 

…全く困ったもんである。

 

黎明期の記録…。/日本SF誕生ー空想と科学の作家たち

 

日本SF誕生―空想と科学の作家たち

日本SF誕生―空想と科学の作家たち

 

 

日本SF黎明期を生きた作家、豊田有恒氏の回顧録である。正直それ以上でも以下でも無いといった作品。面白いかどうかと聞かれれば、「その時代や日本SFの黎明期に興味があるならば…」としか言いようがない。個人的には作中に出てくる豊田氏の友人である作家連中の数々のエピソードは読んでいて楽しかった。しかしよくよく考えてみればその大半はこの世にもういないと思うと少し切ない。でも回顧録とはそういう物よな。

これはもう数少なくなってしまった日本SF黎明期に生きた作家の生き残りの回顧録である。個人的にはそれだけで価値はあったように思う。正直、私は豊田有恒氏に深い思い入れがあるわけではないが…。

ただ豊田氏の書いた日本武尊SF神話シリーズには少し思い出があった。実際のところその作品自体は読んではいないのだけど、小学生の時に日本武尊の物語にはまっていた時期がありノンノベルで出ていたそれを是非とも手に入れたかった記憶がある。結局手に入れれずに今日に至ってしまたのだが…。随分昔のことをノスタルジックに思い出してしまい本作を手に取ってしまった…。全く困ったもんである。

あの人に似ている…。/殺人の追憶(2003)

 

殺人の追憶 [Blu-ray]

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かねてより作品の出来はかなり高いと方々で聞いていたのだが、なんだか尻込みして観ずにいた。と言うのもずいぶん前に韓国映画の傑作と言う前評判で「シュリ」を観たのだが私には1ミリもかすらず正直きつかった。その記憶が拭えず、前評判がどんなに良くとも韓国映画を長いこと敬遠していたのだが、どうにも気になって観てしまった。そしたらこれが想像以上に面白かったので驚いた。韓国映画、クオリティ高いな…。

食わず嫌いは損をするのを実感し感想をここに記す。

内容は韓国の未解決連続殺人事件、花城連続殺人事件を元にした戯曲の映画化であるらしい。131分の陰鬱な捜査劇である。なんとも怖い物語である。まず、その時代背景、軍事政権下という事が怖い。1980年代後半、わずか40年前までお隣さんはそんな政治体制だったという事実が怖い。で件の連続強姦殺人事件である。事件自体も怖いのだがそれを追跡する警察が怖いのだ。杜撰な組織。杜撰な捜査。そして目も当てられない行過ぎた捜査…典型的な権力の暴走である。怖い。月並みで稚拙だが怖い。法と暴力が杜撰さで結びつく負のオーバードライブ。正義なんかありゃしねぇ。報道機関も無法が過ぎる。怖え。時代といえばそれまでだが、正義とか倫理ってなんだろうと考えさせられる。そしてそのラストに至るまで、不穏な空気と場の行き詰まり感やらで、じわじわする怖さが続く。で、結局、無法の限りを尽くしても捕まえられないのがなにより怖い。暗く陰鬱で時として愚かしくてやるせない物語である。最後まで救いは無い。最後の残るのは、杜撰な警察組織に対する空しさと犯人に対する憤り、市井に未だに潜み続けている犯人への恐怖である。やはり怖い作品である。

しかし、しかしである。私は何よりソン・ガンホの相方キム・サンギョンアンジャッシュの渡部にしか見えないのが怖い!いや、より正確に言うならば上位互換機だ!!!…って別にそれはいいのだが、もう私にはどうやってもキム・サンギョンアンジャッシュ渡部にしか見ないのだ…。何をやってもアンジャッシュ渡部に見える…。きっと見返すたびに、いつすれ違いの掛け違いコントが始まるのかとどきどきしてしまうことだろう…。…うーむ、怖い…。全く困ったもんである。

 

これを観終わった直後にこの事件の犯人が特定されていたとの情報を知った。この映画が公開された当時にはもう別件で捕まっていたらしい。それが救いになるかどうかは分からないが、この映画を見終わった後の怖さの一つが消失したのだけは確かだろう…。しかし怖い。アンジャッシュ渡部。困ったもんである。

もはや、尊い/ミッション:インポッシブル フォールアウト(2018)

トム・クルーズ氏、今年57歳。この映画とってる時は、55~56歳か…。

 

 周回遅れもいい所だが、ようやく観たので感想を。

端的に言って面白かった。最高なのではないか。いや、最高だ。個人的にシリーズ最高の出来だと思った。これまでのシリーズの要素を散りばめたシリーズファンを意識した作り。最高である。2の冒頭の意味のないロッククライミングのカットとか、まさかここに生きてくるとは…。夢にも思わなんだ。爆弾の件の赤だの緑だのの話も1のガムの件を想起させるし…。自然に口元が緩んでしまうやろが。別れた嫁とか前作の悪役やらヒロインやら続投で出てくるとかIMFのいつもの面々とか…。ズルいよね。これは楽しめない訳がない。シリーズ通して観たものに対するご褒美のような作りで個人的には大満足。しかし本作の面白さは何よりも、本作主演のトム・クルーズ氏(以後、トムクル氏に略)に尽きるのではないかと思う。冒頭にも書いたがもう還暦目前の超おっさんである。で、そのアクションである。撮影中にも話題になっていたが本作のアクションで右足を骨折したとの噂は私も耳にしていた。で件のシーンを観たのだが、そりゃあ骨折するよ、っていうか何やってんのよトムクル氏。50も半ばになれば、ちょっとした事で骨も折れますよ。いくら体鍛えたって老化してんだから…。いや、でも、というか、それ故凄い。というか、凄いを通り越して最早、尊い尊いよトムクル氏。年を喰ってから加速度的にジャッキー化していくってどういうことよ?神か。神を目指しているのか?そういえば変な新興宗教にハマっていたような話を聞いたような気が…。いや、もとい、だとしても尊い。というか尊いを超越してもはや面白すぎるだろトムクル氏。いったい何処まで行くつもりなのか…見当がつかん。ぎゃふん!

勘が鋭くなくてもタイトル見ればどんな映画か大体想像つく。/Mr.&Mrs.スパイ(2016)

スパイコメディー映画。ガル・ガドットが至高!が、本作のメインは彼女ではない。 日本ではビデオスルー作品。

 郊外の住宅街に越してきた、ジョーンズ夫妻(ジョン・ハムガル・ガドット)。容姿端麗、眉目秀麗で職業も完璧。あまりにも完璧すぎて一抹の怪しさを感じたギャフニー夫妻(ザック・ガリフィアナキスアイラ・フィッシャー)は好奇心も手伝って、突っ込まなくてもいい首を突っ込んでしまいトラブルに巻き込まれてしまう105分の物語。

 

邦題のタイトルが最大のネタバレな映画である。原題はkeeping up with the Joneses。隣近所に見栄を張る的な意味で、まだ内容の検討がつかないのでいいと思うのだが…。ビデオスルー作品なので思い切ったパンチのあるタイトルをつけたパターンか。ブラピとアンジーの映画タイトルのパチもん的な感じでつけたんだろう。そしてそのタイトルから想像できるような物語が展開されていく。意外性は全くない…。正直「宇宙人ポール」の監督と「ハング・オーバー」のアラン役、ザック・ガリフィアナキス出演の作品と言うことで期待したのだが、残念ながらそうでもなかった。

ガル・ガドット出演作品と言うことでその麗しきお姿を拝めるし、眼福の極みではあるが、肝はそこじゃない。ザック・ガリフィアナキスジョン・ハムが演じる普通のおっさんと普通でないおっさんの職種を越えた友情が肝なのではないだろうか。パンチは弱いが、プチ中年危機同志の穴を補完しあう同志的な様は意外とグッときた…。

 

歳だろうか…。

 

正直可もなく不可もない作品だが、出演している俳優陣は豪華で目の保養にはなる。そんな映画だった。

知り方も千差万別。/SFのSは、ステキのS

 Sが素敵のSならば、Fはなんなんだろうと悩む。不思議か?。

SFのSは、ステキのS

SFのSは、ステキのS

 

 若い頃は小説ばかり読んでいたが、年を喰ってきて、エッセイをよく読むようになった。これは若い頃と違い、読書に時間をなかなかさけないこともあり、区切りやすく、読みやすく、読み終わりやすいためだったりする。あと年齢を重ねて角が取れて丸くなり、人の話を聞いていてもあまり腹が立たなくなってきたためだろう。そう思われる。

で、本書であるが、正直な所、タイトル買いである。私は突発的に、普段決して手に取らないような本が読みたくなる発作(衝動)に襲われることがある。まあ、たいていジャケ買いが多いのだが本書はタイトル買いである。いや、素敵なタイトルではないか。素敵なタイトルだと個人的には思っている。本書は作者の読書にまつわるエッセイ集である。作者の池澤春菜氏が作家の池澤夏樹氏の娘で声優を生業にしている、と言うことぐらいは知っている.。が、具体的に何やってるかは知らないぐらいの状態で読んだ。読了後もこの方の代表作が何なのかはよくわからなかったのだけど、調べたらレッツ&ゴー‼の人だった。本書を読んで、少なくとも私よりずっと沢山のSF本を読んでいる、ということは理解できた。あと一番印象に残った話は、飛行機がなぜ飛べるのかの件。本書ではオサレな友人とのエピソードでその件を知ったことが紹介されているが、私の場合「逆境ナイン」で知ったんだったけ…。いや。断じて恥じてはいない。むしろ、新たな知識をありがとう島本先生という感謝の念しかありません。

 

そんな感想…。なんだこの感想。

詰んでるゲームほどキツイものは無い。/NEXT ネクスト(2007)

 リセットしてやり直すの、辛い。

 

 

NEXT -ネクスト- [Blu-ray]

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ロシアで盗まれた核爆弾のアメリカでのテロ計画。テロ阻止のためにFBIが白羽の矢を立てたのはラスベガスで小銭を稼ぐしがないマジシャン、クリス(ニコラス・ケイジ)。何とクリスは超能力の持ち主で2分先の未来が予知できる能力の持ち主だった…みたいなフィリップ・K・ディック原作とは名ばかりの全く別物の96分の物語。

 

詰む。八方塞。TVゲームでもボードゲームでも何のゲームでもいいが、ゲーム終盤でそういう状態になると大抵辛い。序盤に感覚と勢いに任せて後先考えず突っ走った結果そうなることが多く最終的に断腸の思いでそっとリセット…。なんて事を想起させた作品。 概ね面白く視聴できた。特に2分先を予知できる主人公、ニコラス・ケイジのうらぶれた超能力者ぶりはかなり良い。ストーカー気質のヤバめな感じが風貌と相まってナイスな感じである。ただ一点の不満があるとすればジェシカ・ピール演じるところのヒロイン。懐に潜り込まれるまでのガードの固さは好感が持てるが、潜り込まれてからのガードの緩さは頂けない。もう少しどうにかならなかったものか。困ったものである。

未知の不可抗力。/死に山:世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

未知の不可抗力。何それ怖い。なんたるパワーワード

 

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

 

 

 極地に挑む話が好きである。単純に興味がある。が、憧れは無い。興味=やりたい事ではない。私は生まれてこの方、雪山という所に言った事が無い。これからも行く予定は無い。スノボやスキーにも行った事が無いし行きたいとも思わない。何よりも私は寒いのが嫌いである。多分私は雪山というのを体感せず、経験せずに朽ち果てていくだろう。しかし別に後悔はないし未練もない。だが、不思議と興味はあるのだ。わざわざ過酷な状況に挑む人間に。

私は謎が好きである。古今東西を問わず、不思議な現象であったり事件などに興味がある。陰惨であればあるほど良い。趣味があまりよろしくないのは自覚しているが、空想が、妄想が捻るのである。不思議で不可思議なのが良い。妄想が広がる。で、行き当たるのがこの事件である。ディアトロフ峠事件。これは1959年に当時のソ連ウラル山脈北部で起こった遭難死亡事故である。その不思議で不可思議な惨状の詳細は各々調べて欲しい。捻るから。

本書は作者であるドニー・アイカーによるディアトロフ峠事件直前までのドキュメントである。過去パートと現代パートの2段構成になっており、一応作者の考える解決編もある。しかしこれは事件の真相の決定版ではない。あくまで作者が、集めた資料、関係者の証言、状況的推論から導きだした推察である。正直これが事件の真相であるとは断言できない。ただ事件直前までの情景が非常に想像しやすく、当時の若きトレッカー達の死に至るまでの道程を丹念に追っている。故に私の妄想を捻らせるのには十分な本であった。

 

だが、しかし。本書のこのタイトル。これが本書のしょっぱなにして最大の落ちとなっていることは間違いない。

ホラート・シャフイル。マシン語で死の山。…何たる出落ち。

 

雪山怖い。

 

正しいアップデート。だがしかし…。/クリード チャンプを継ぐ男(2015)

肝心な所はアップデートされていないように感じる。

 

 ボクシングが結構好きでそれを題材にした映画もよく見る。作品は違えれど年々クオリティは上がっているように感じる。特にメインの試合にいたるまでは…。

本作も良くできている。正直な話、私はさほどこのシリーズの熱心なファンではない。第1作目は面白かったが2作目以降は惰性で見た感が凄くある。最後に見たのはスタローンが最終的に弟子とストリートファイトするやつで、それがシリーズ何作目かは記憶にない。それ以降は見てない。その程度の思い入れしかない。

そんな私でも本作は面白かった。が、しかしこの作品もメインの試合がいただけない。ボクサーのフルスイングしたパンチがクリティカルヒットしたら、いかに鍛えているボクサーでも、もれなく絶賛お陀仏だよ。全力被弾のしたらパンチドランカーどころか絶賛成仏だよ!と突っ込みたくなる試合なのだ。こういった展開も漫画だと許容できるのだが実写作品だと何故か冷めてしまう。そこまで重ねてきたドラマの現実感に対してボクシングの試合が虚構過ぎるのだ。両親を失ったものの義母の愛情を一身に受け、何不自由することなく育った主人公がそれでも満たされない何かを求めてボクサーの道を歩もうとした一つの到達点の試合がこんな大味な試合だとは…。画面映えするためには分かりやすいもの、というのは理解できるのだけど、もうそろそろシビアで刹那な試合を見たかった。正直ラストバトルに至るまでが面白かった故に少し残念だった。以上。

亡国の10番/誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡(2000)

 亡国の10番、その半生。

誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

 

 面白い。面白くないわけが無い。

今は無き亡国ユーゴスラビアの10番を背負ったフットボール選手の波乱に満ちた半生を描くノンフィクション。

生まれも育ちも名古屋でフットボール観戦好きの身としてはもう読んでいて然るべきの本なのだが、発売当初から凄く売れていたし、この世から消えることは無いと思い、死ぬまでに読めればいいと放置していたら今日まで来てしまった。で、満を持して読んだのだがこれがすこぶる面白かった。そのほとんどのエピソードをもうすでに知っているにもかかわらず面白い。何よりも筆者がストイコビッチに魅せられてフットボールに、ユーゴ情勢にはまっていく様が読んでいて面白い。確かに彼はフットボール沼にはめる選手でしたよ。

超絶技巧なプレイヤーである反面、事あるごとにカードをくらうカードコレクター。常に何かに苛立つ姿が印象に残っているストイコビッチ。その現因がなんなのかが垣間見れる一冊。

TVの画面越しではあるがリアルタイムに贔屓のチームでプレーする彼の勇姿を拝めたのは今思うと幸福なことだったと心底思う今日この頃。以上。